- 今年もスプリングスクールにたくさんご参加いただきまして誠にありがとうございました。今回おもしろ作文倶楽部コースでは、宮沢賢治の『よだかの星』を読んでの感想文を書いてもらいました。はじめはなかなか難しかったようですが、授業がすすむにつれて、どんどん自分の意見が出てくるようになりました。完成した感想文すばらしかったです。とても充実した授業になりました。
- よだかの星というお話はごぞんじでしょうか。みにくい鳥のよだかは、ほかの鳥たちにいじめられています。特にたかは、名前が似ていることもあり、よだかにつらくあたります。よだかは、もうここではくらせないと、遠くへ行くことにしました。お星さまに「そちらへ連れて行ってください」とお願いしますが、聞き入れてもらえません。しかし、意識を失うまで飛び続けたよだかは、最後に星になることができました、というお話です。
- まず、星になったよだかは幸せなのだろうか、という点で二つにわかれました。
もういじめられなくなったので幸せだ。
星になってしまってはつまらないので不幸せだ。
どちらが正解というわけではもちろんありません。それぞれに自分が本を読んで感じたことが大切です。そして、授業では、このように自分とちがう視点を知るということがとても重要なのだと思うのです。そこからまた新しい思いが生まれます。
『よだかの星』は、最後の場面、次のように終わっています。 - 「そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。」 - 星になったところで終わるのではなく、あえて一行付け加えられているのです。なぜなのでしょう。それを考えることは、たんなる本の感想ではなく、これからどのように生きていくのか、よだかだけではなく自分自身の生き方についても、つながっていくことだと思います。なぜ一行付け加えられているのでしょう、というぼくの問いに、すぐにいくつもの答えが出てきました。
- 「星になることができてうれしかったから。」
「弟たちが心配だから見守りつづけている。」
「生きているから。生きつづけているから。」 - ひとつの扉が開き、その扉からまた違う扉が次々と開いていきます。もとはみな同じお話を読んでいるのに、さまざまな物語が生まれています。みんなの感想文は本当にとてもすばらしかったです。今度5月には通常クラスでのおもしろ作文倶楽部の授業で、また読書作文を行います。そのときは同じ宮沢賢治の『どんぐりと山猫』をテキストにしようかと思っています。いまからとても楽しみです。
NEWS青葉台校室長
三木 裕