上野動物園のパンダのシャンシャンが中国に帰ってしまいました。中国でも元気いっぱいで過ごしてくれることを願うばかりです。ぼくの校舎に、最後のお別れにシャンシャンに会いに行ったという生徒と、その生徒のお父さんもおられましたが、ずっと寝ているだけで、背中しか見られなかったと残念がっておられました。ははは。まあ、わりとパンダあるあるのような気もしますが……。
さて、先日、有川浩『県庁おもてなし課』という本を読みました。高知県の県庁に実在する『おもてなし課』を舞台に、若手職員が成長し、奮闘し、恋をするおもしろい本でした。そこに、伝説の元職員が提案したという『高知県にパンダを呼ぶ』という企画が出てきます。これはさすがに創作らしいのですが、高知県出身の作者のお父さまが酔っ払って話していた案なのだそうです。小説の中ではかなり具体的に書かれていて、あまりのスケールの大きさに当然のように却下されてしまいますが、もし実現していたら、高知県の一大名所として、大人気になっていたのではないかと思ってしまうようなお話でした。
いや、いくらパンダでも、高知県までわざわざ見に来てくれないよ、ということを大義名分にして、行政特有の失敗したらだれが責任とりますかという問題を回避するという、いかにもありそうな展開で却下されたわけですが、かなりの出費が伴うとはいえ、ほんとうに実現したら、成功したのではないでしょうか? パンダが無事に成長し、赤ちゃんが生まれて、少しずつ増えていったら……。高知県まで、見に行く人はかなりいると思います。
そう思う根拠もじつはあります。高知県の人口わずか5800人の過疎の町に、1996年4月に『やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム』がオープンしました。周囲の人は大反対。町長も赤字になるのが心配。もし赤字になったらぼくがうめるとやなせ先生はおっしゃったそうです。ところがどうでしょう。年間10万人が来てくれたら、という希望はオープンして49日目にしてあっさり達成されてしまいました。もう27年も経っていますが、まだまだ子どもたちに大人気のようです。田舎の町も、アンパンマンミュージアムのお客さんのおかげで活気づき、商店街もできたということでした。
地方活性化といわれて、いろいろ挑戦する市町村が多いと思いますが、なかなか成功例は少ないようです。パンダとか、アンパンマンなら、そりゃ成功するよ、と思われるかもしれません。でも、そう思っても、実現させなければ、ぜったいに成功はしないですよね。NEWSもいろいろなことに挑戦してきました。といいますか、NEWSのような少人数で専門講師による複合型習い事教室そのものが挑戦だったと思います。これからも、いろんなことに挑戦していきたいと思います!