- 塾の先生は、日頃から、いろいろなテキストや、学校の過去問題集を見る機会が多いと思いますが、NEWSの先生は、それだけではいけません。パズルやクイズ、ゲームの本なども、積極的に目を通すようにしています。特に子供向けに書かれたこれらの本は、すばらしいアイディアの宝庫です。
- たとえば、算数のテキストと、パズルの本では、時にまったく同じ問題が出ていることがあります。けれども、その出題の仕方が大きく違います。そこがおもしろいところであり、勉強になるところなのですね。このあいだ、下のような問題を見つけました。まずは算数のテキストです。
- 『地球の周りに、地球の半径よりもいつも1メートルだけはなれたところに、ずっとロープをはりました。このロープは、地球の円周の長さよりも、どのくらい長くなると思いますか?』
- このテキストでは、地球の円周が最初に提示されそれに基づいて計算させる、という、いわゆる円の問題のひとつとして出ていました。大きな数の概念や、計算力ということを考えれば、これで充分です。ただし、パズルの本では、問題の内容はそのままで、演出が加わります。はじめに、直径1センチの円と、2センチの円の円周の違いを出させます。
- 1×3.14=3.14 2×3.14=6.28
- 『なんと、たった1センチ大きくなっただけで、円周は3.14センチも大きくなってしまいます!』ということを見せてから、『地球の半径は6378388メートル、円周は400562726.64メートルです。では、地球の周りに、地球の半径よりも1メートルだけ……』と、同じ問題へつづきます。
- 1センチの円でもこんなに大きくなるのだから、地球ぐらい大きくなればどれだけ長くなるだろう、と思わせてしまうのが、パズルの楽しさです。実際の答えは、半径に1メートルを足すだけなので、計算すると6.28メートルしかちがいません。およそ40万キロメートルのロープが、たった6.28メートル長くなるだけなのです。
- 結局は同じ問題なのですが、算数のテストで、わざわざこのような問題を出すと、怒られてしまいそうです。しかし、どちらの問題の方が、より覚えてもらえるでしょうか? 地球の大きさも想像しつつ、算数のおもしろさも味わえると思います。NEWSStep Upメインコースの問題では、意識してこのような問題を出していきたいと思います。いいえ、まず、地球の円周を自分で調べるところからスタートです!
NEWS青葉台校室長
三木 裕