- 前回、里見弴の書いた『文章の話』という本について取り上げました。文章を綴るためには、まず自分が立派な人間にならなければ……ということが書かれています。しかし、作文の書き方の本ですから、それだけではありません。細かいところにも、心配られています。次のようなところです。
- 『「句読点のうちどころ」「漢字を使うか、仮名にするか」「仮名は平仮名がいいか、片仮名がいいか」「語尾の、どの字から仮名を送るか」「振り仮名をつけるか、つかないか」「別行が多すぎて、何か希薄な感じがする」とか「真黒に詰まりすぎて、紙面が汚らしく見えるから、ここらで別行に起こそう」とかそういう諸点に対する考慮です。これを、一概に、虚飾のように思って、なおざりにしているようでは、決して、いい文章は書けません。』
- 句読点、特に読点の位置などは、よく質問されます。主語のあと、接続詞(接続助詞)のあと、息継ぎをするところなどなど、おおよその位置の目安などは説明出来ますが、完全な答えはありません。なぜなら、そこに書かれた文章によって位置が変わってくるからです。では、読点は、どこに打ってもよいのでしょうか? その答えの一つが、『文章の話』の中に書かれています。
- 『「文章の体裁」などと言うと、いかにも「末枝」「枝葉の問題」という風に軽んじられがちですが、それは、大へんな考え違いで、文章にかぎらず、すべての「いい仕事」というものは、人目につかないような、隅の隅まで、細かな注意が行き届いているのです。細瑾を顧みないで、立派な器が出来たら、お目にかかります。
隅々まで注意が行きわたる、その、基の気持ちは何か、というに、『親切』です。それも、読者に対してではなく、文章そのものに対して、親切・丁寧、ちょうど、母親が、生まれたばかりの赤んぼをあつかうような、細心さで筆をとらなければ、とてもいい文章は書けません。』 - 読点の位置のような細かいところは、あっさりと見過ごされがちですが、細やかな、『親切』な気持ちで文章を読み返し、必要な場所を決めていきましょう。自分が読んでみて一番読みやすいところが読点の位置です。漢字や改行なども同じです。もちろん、そのためには、いろいろな文章を読んで、たくさん作文を書く練習も必要ですが……。これからぜひとも、『親切』に作文を書いてほしいと思います!
NEWS青葉台校室長
三木 裕