先日、国際学力調査の結果というのが発表されました。国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)というものだそうで、なかなか興味深い結果が出たようです。小学4年生と中学2年生に行った算数(数学)・理科の調査で、日本の結果からぼくが特に関心を持ったところは以下のものです。
・小4算数は前回を17点、理科は11点上回り、95年以降で最高だった。中学2年は、数・理ともほぼ横ばい。
・一方で、勉強への意欲・関心の低下が目立つ。「算数・数学の勉強が好き」は小4で66%だが中2では39%、理科では小4で83%が中2で53%まで下がる。中2の割合は国際平均より20ポイント以上低い数値。
・「学校で習っていることを親が尋ねるか」という質問で、「毎日・ほぼ毎日」という解答は12%で国際平均(50%)よりもかなり低い。逆に「1回もない・ほとんどない」は26%で国際平均(10%)の倍以上。
・「数学を使うことが含まれる職業につきたい」に「強くそう思う」と答えた中2は4%で世界最小(国際平均22%)。ただし、「自分が望む仕事につくには数学で良い成績をとる必要がある」と考えている割合は62%。03年調査の47%、07年の57%よりも増えている。
などなどです。いろいろな報道を見ておりますと、学力向上は『脱ゆとり教育』の成果という意見が多いようです。ご家庭での関心の高さが学力につながる、日本の子どもは全体的に自信がないようだ、という意見も見られます。
脱ゆとりについては、もう少し先のデータを見る必要があると思いますが、学力向上という結果はやはりいいことでしょう。ただし、今後、学力向上と比例して、算数・数学嫌いの数もアップしつづけたら、それは問題だと思います。ゆとり教育時代に算数好きの子がどれだけ増えたかのデータはわかりませんが、大人になっても数学を使いたい子が4%というのは、かなり衝撃的な数字のように感じられます。
好きではないけれど、将来のために数学はやらなくちゃいけない。でも、大人になったらもう数学はやりたくない。嫌いでも、やらなくてはいけないと思うのはえらいですが……。なんとなく、さみしいですねえ。
数学の楽しさ、おもしろさというのはなんでしょうか?
ぼくは、論理の美しさだと思います。ぼくの好きな本格推理小説もそうなのですが、謎が、名探偵の推理によって、まったく余すところなく解かれること、その快感が数学のおもしろさだと思うのです。そして、そのおもしろさは、数学だけではなく、どんな世界、どんな仕事でも、必ず必要な力となると思います。いまでもぼくが名探偵と推理を競いあって楽しんでいるように(たいてい負けますが)。せっかく将来のために数学を勉強しようと思ってくれているのですから、そのままではもったいないですよね。数学の楽しさをも教えるような教室、NEWSをそんな場所にしたいと思います。子どもたちひとりひとりがみんな名探偵です。
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕