先週の土曜日の夜、家に帰ると、テレビで懐かしいチューリップというバンドのライブをやっていました。『心の旅』とか『サボテンの花』とか、1970年代ぐらいでしょうか、たくさんヒット曲を歌ったグループです。ぼくも、さすがに世代的にはあまり知らないのですが、年上のいとこがアルバムを持っていて、それを聞いてファンになったのでした。
テレビでやっていたのは当時のライブではなく、解散した後しばらくしてから復活したときのライブのようでした。メンバーもずいぶんおじさんになっていましたが、美しいハーモニーやお客さんと一つになる楽しい演奏はそのままで、ぼくが見たのは途中からだったのですが、最後まで見つづけました。
好きな歌、知っている歌が次々と流れ、いい気持になっていっしょに歌っていたのですが……。なんと、ぼくが覚えていた歌詞と、本当の歌詞がちがうことに、ウン十年ぶりに気が付きました。
『夢中さ君に』という歌では、「キャンパスへ消えていく」という歌詞を、ずっと「キャンパスが冷えてゆく」だと思っていました。主人公の好きな女の子が通り過ぎる場面なので、冷えてしまうのかと……。また、有名な『魔法の黄色い靴』という歌では、「誰にもあげない魔法の靴さ」というところを、「誰にも負けない」だと思っていました。海や川をこえてきちゃう魔法の靴なので……。
うっかりといえばうっかりですが、いまのようにかんたんに歌詞を検索できる時代でもなかったですし、ぼくが聞いていたのも(いとこが持っていた)ライブ盤をテープに取ったものだったので、まあ、気が付かなくても仕方がないかなとも思います。カラオケで歌ったこともなかったですし。ただ、長い長い年月を経て、気が付くこともあるのだなあ、という感慨はやはりありました。まちがった歌詞でも、それなりに意味が通じますし、といいますか、たぶん自分好みの歌詞にしてしまっていたのかなと思います。当時のことはもう思い出せませんが、チューリップのヒット曲『青春の影』のようなものを一瞬見ることができました。とても楽しく、ちょっとしんみりした夜でした。