おもしろい本を読みました。門井慶喜『家康、江戸を建てる』という本です。はじめて読む作家さんでしたが、直木賞も取られた作家さんで、いろいろなジャンルの本を書かれているようです。この本はたまたま図書館の本棚で見つけ借りてみました。
徳川家康が秀吉に、江戸へ移れと、ほとんど命令のような形でいわれます。家臣はみな大反対で怒り出します。しかし、家康だけは、承知するといいました。未来へのビジョンがあったからです。この本は、家康は少ししか出てこず、江戸の町を作るために苦労した職人たちが主人公です。川の流れを変えて、江戸の土地を湿地から変えたもの。小判を作り経済を変えたもの。江戸の飲み水を確保したもの。石垣を作ったもの。天守閣を作ったもの。
歴史の本やドラマ、教科書では、関ケ原の戦いのあと、大坂の陣が終われば、徳川の時代がすぐにやってきて、盤石の体制を築いたという印象があります。しかし、川の流れを変えるだけでも三代五十年というような大事業なのです。小判つくりも、遠くから水を運ぶのも、石垣用の石を見つけ、切るのも、江戸城を白く塗るのも、みんな、とんでもなく大変な年月のかかる大事業なのでした。それをやりとげたから江戸幕府ができたのです。
戦国ものの本では、つい合戦の描写を期待してしまい、いかに戦ったのか、だれが強かったのか、などに目が行きがちです。しかし、この本は、まったく違う視点から、江戸幕府のできるまでを描いていて、知らないことも多く(といいますか知らないことばかりで)、一気に読んでしまいました。戦が強いだけでは真のリーダーにはなれないのですね。歴史の勉強としても、おもしろいと思いました。みんなに話すネタにしたいと思います!