小学1年生の子の算数を教えていたときのことです。答えに0が出てきました。答えは合っていたのですが、ちょっと形がおかしいです。
おおげさにいいますと、6を左右反転させた形なのです。もっと学年が上の子でも、乱暴に書いて0なのか、6なのかわかりにくい人がいますね。注意です。テストで間違えても自分のせいといわれしまいますよ。
なので、ぼくもその子に注意しました。0はこういう風に書きましょう、とお手本を見せて。すると、その男の子はいいました。
「どうしても0をかくと、着信になっちゃうんだよな」
えっ? と最初思ったのですが、なるほどと気がつきました。携帯などで小さく表示されるあのマークなのですね! さすがに生まれたときから携帯電話がある世代です。一年生でも、さらりとこういう言葉が出てくるのですね。
また、今度は6年生の男の子ですが、漢字の勉強中に、こんな問題が出ました。
ノウと狂言は日本の昔からある演劇だ
カタカナの部分を漢字にするわけですが、脳と書いていたので、注意しました。その脳ではなく、芸能人とかの能だよ、と。すると、その男の子はいいました。
「ああ、能見の能か」
注釈が必要かもしれません。能見というのは阪神タイガースのエースの名前なのです。その子はかなり力の入った巨人ファンですので、巨人キラーの能見投手がすぐに浮かんだのもうなずけるところです。
同じ日に別の子ではこんな漢字がありました。
周りからトクのある人だといわれる
得と書いてしまっていたので、それはちがうよ、人徳とかの徳だよ、といいました。すると、今度は女の子だったのですが、
「そうか、徳光さんの徳ね」
すぐに答えを書くことができました。一時期AKBに凝っておりましたので選抜総選挙の司会をされていた徳光さんは印象に残っていたのでしょう。
子どもたちの言葉は本当におもしろいですね。自分の生活に密接にかかわってくる度合いが大きいです。着信ではいけない、能見の能、徳光さんの徳、そうやって自分のやり方、考え方、覚え方で、学んでいくのもよいことだと思います。ぼくらも、子どもたちにアンテナを広げて、ちゃんと受け止めないといけないです。それによって、みんなの理解もより深まるはずですので。でも、その巨人ファンの男の子のように「三木先生のおかげで野球にくわしくなったよ」といわれてしまうのはちょっと問題かもしれませんが……。勉強もその分できるようになりましたので、よしとしましょう!
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕