1月になりまして本格的に寒くなりましたね。みなさま、お風邪などひかれませぬようお気をつけください。
前回に引き続き馬の本のお話を……。ディック・フランシスという作家をご存知でしょうか。競馬の世界を題材にしたミステリーを40年以上のあいだほぼ1年に1冊のペースで書き続けたイギリスの作家です。元は障害競馬のスター騎手だったという異色の経歴を持っていますが、作家としてもスターであったと思います。ぼく自身は競馬をほとんど知らないですし、買ったことなどもないのですが、それでも十分おもしろく楽しめる物語ばかりでした。どの本も、騎手としての経験を物語に生かし、さらに巧みな展開で最後まで一気に読んでしまいます。馬への愛情もいろいろな場面で自然に描かれています。
ディック・フランシスの物語は、ほんのごくごく一部をのぞき、すべて主人公が違います。どれも競馬に関係する物語ですが、主人公の設定も、騎手が多いですがそれだけではなく、記者、パイロット、俳優、ガラス工芸作家、諜報員、ワイン商などなど多岐にわたります。ただし、どんな窮地に陥ってもあきらめない不屈の男という点が共通しています。小説の世界ですから、もう絶体絶命という場面が必ずあります。敵も本当にびっくりするぐらい悪者ばかりです。けれども、ディック・フランシスの物語は、どんなストーリーでも、最後は必ず主人公が卑劣な敵を打ち負かします。読むと、はらはらどきどき、そして、勇気をもらいます。競馬に興味のない方でも楽しめるエンターテイメント作品です。午年にちなんでご紹介いたしました。ご興味ありましたらぜひ読んでみてください。
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕