新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、2020年は子年です。ねずみの出てくる本というのは、たくさんあります。あの夢の国のねずみをはじめ、絵本や童話の世界では、主役になることの多い動物だと思います。その中から1冊、今年は、とてもかわいいはりねずみがでてくる絵本『やもじろうとはりきち』をご紹介したいと思います。
名前からわかると思いますが、はりねずみの名前がはりきちです。では、やもじろうは? そうです、やもりなのです。やもじろうとはりきちは、赤ちゃんのときから、ずっとなかよしでした。いっしょに遊んで、たまにけんかをして、それでも、ずっといっしょでした。ところが、やもじろうは、だんだん、はりきちと遊ぶのがいやになってきました。はりきちは、足が遅いし、木も登れないし、いっしょに遊んでもおもしろくないのです。なので、やもじろうは、ある日、はりきちに、ついてくるな、といってしまいました……。
そのあと、いろいろありまして、でも、安心してください、最後は仲直りをします。とてもハッピーな気持ちになるすてきな絵本です。
ぼくは、子どものころ(いまもそうですが)、運動が大の苦手で、本当にはりきちみたいでした。といって、特に仲間はずれにされたこともなかったのですが、みんなが軽々とできることができないのは、とてもつらいことでした。やもじろうとはりきちは仲直りをしました。でも、またいつの日か、はりきちのことを、めんどくさいな、と思ったりしないでしょうか? もちろん、友達だからといって、いつもいっしょに遊ばなくても、ときどきは、ちがう友達と遊ぶことも大事でしょう。はりきちも、ちがう世界で気の合う友達が見つかるかもしれません。でも……。やもじろうとはりきちの友情は、たとえいっしょに遊ばなくなる日が来ても、ずっとつづいてほしいと願わずにはいられません。
運動のできない子も、はりきちのように、友達を守ることのできるなにかを必ず持っていると思います。やもじろうも、それに気が付き、またなかよしになりました。はりきちのように、なにかを持っていることに気がつけばいいですが、自分では気が付かない子も、たくさんいると思います。たとえば、作文です。作文が苦手で、とか、大嫌いで、という子はいっぱいいます。でも、書いてみると、すごくいい言葉がたくさん出てくる子がなんと多いことでしょう。NEWSは、作文だけでなく、あらゆる場面で、そういうなにかを見つけられる場所でありたいと思います。もし機会がありましたら、ぜひ『やもじろうとはりきち』をご覧ただければと思います。やさしい気持ちになれる絵本です。