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第357回

人生の門出

2014.06.10更新

 前回のコラムで『ノッティングヒルの恋人』という映画について書きました。その映画の中で、主人公の妹が恋人に「私のヒーロー」と叫ぶシーンがあります。主人公を助けるためにがんばった恋人にいう、ちょっといい場面です。その映画を見た何日か後、たまたま読んでいた本にも「私の英雄(ヒーローとルビがふってあります)」と書いてある場面がありました。芥川龍之介が、菊池寛のことを(冗談交じりで)そう呼んでいた、と萩原朔太郎がいっていた、というのです。

 この本は北村薫『六の宮の姫君』です。芥川龍之介の短編『六の宮の姫君』をめぐる謎を、さまざまな小説、書簡等から、推理していくという物語です。芥川賞というのはいまでも有名な賞ですが、その賞を作ったのが菊池寛です。自分も小説家、戯曲家ですが、文藝春秋を創刊し、いまでいうプロデューサーのような仕事で巨人のような足跡を残した人です。芥川龍之介が自殺した後、友人代表で弔辞を読みました。芥川龍之介と菊池寛のあいだの友情を語る胸をうつエピソードが、『六の宮の姫君』には書かれています。

 『六の宮の姫君』は、推理小説ですが、殺人事件や、犯罪などは出てきません。最初から最後まで、芥川龍之介がいったという言葉のなぞときで終始します。文学的な素養があればもっともっとおもしろいのだろうと思うのですが、読みやすい語り口でぐいぐいと読んでしまいました。推理小説ですので内容には触れないようにしますが、主人公が大学4年生ということもあり、特に就職活動中の大学生諸君に読んでほしいと思いました。

 映画『ノッティングヒルの恋人』のヒーローもよかったですが、この本を読んだ後、あらためて、芥川が菊池寛を英雄と呼んでいたと思うと、ふたりの性格やその後の人生なども含め、なんとなく感傷的な気分になります。『六の宮の姫君』をぼくは文庫本で読んだのですが、そこの解説に、この本の目立たないところにある副題のようなものについて書かれていました。

「A Gateway To Life (人生の門出)」


 これが副題のようなものです。小説の主人公であるヒロイン(名前は書かれてなく、シリーズものでありますが、ずっと『わたし』だけで書かれています。)のことだと思いますが、それだけではないように思います。古き小説家たちの若いころの友情の日々にも人生の門出の日々があったはずです。ぼくにもありましたし、これからだってあるかもしれません。もちろん、NEWSの子たちにはこれからいろいろな人生の門出があるでしょう。その門出をすばらしいものにするお手伝いをぼくらはできているでしょうか。自らの手で人生をつかむような人になってほしいです。NEWSはそういう場でありたいと思っています。みんなの人生を思うと厳粛な気持ちになります。みんなの人生が幸せな門出となりますように。ぼくは今日もNEWSにいますよ。


NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長  
三木 裕

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商号
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創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
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子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
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会社
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会社
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■子どもの体験型ツアー実施する旅行会社
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■生活・文化・新規事業部門

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