ずっと雨でしたが、また暑い日ざしが帰ってきました。一歩ずつ夏の足音が大きくなってきているようです。ブラジルでも熱い試合が続いておりますが、日本はどうなったでしょうか? (日本の試合の前に書いております。)
サッカーも気になりますが、夏といえばなんといってもNEWSのサマースクール! 今年もNEWS作文倶楽部では読書感想文コースを実施いたします。2014年の課題図書の中から、またおすすめの本を選びましたのでご紹介いたします。サマースクールでは、こちらの本で授業をしたいと思います。
小学1、2年向け どこかいきのバス 作:井上 よう子 文研出版 |
お母さんとけんかをして、家を飛び出したぼくの前に「どこか」いきのバスがあらわれました。このバス、なんかへんだぞ。乗り込んでいきたい場所を言ってみると、たちまちバスのかたちがかわって……。お母さんに怒られたことってだれでもありますよね? 感想文では、なかなかそういう(自分にとって)負の状況というものを書きたがらない子が多いです。ただし、あえてそれを書くことによって、自分についてや、両親、まわりの人のことについて考えるきっかけになるのです。最後、あっとおどろく落ちのある楽しいこの本を読みながら、そんなことを考えてほしいなと思います。
小学3、4年向け ともだちは、サティー! 作:大塚 篤子 小峰書店 |
夏休み、父さんの仕事にくっついて、ネパールにやってきた小学5年生のツトム。せっかくワクワクしていたのに、最悪の出会いをした村の少年パニとふたりきりで放牧の仕事をすることになり……。言葉もぜんぜん通じない、食べ物や、住む場所もまったく違う環境で、異国の少年と過ごすことになる主人公のツトムの視点と、やっかいな外国から来たなんとなく生意気そうな男の子の面倒を見るようにいわれたパニの視点とが交互に語られ、物語に厚みを与えています。反発しあっていたふたりが、厳しい気候によるハラハラどきどきの場面を経てたどり着いた友情を、異文化交流ということだけではなく、もっと普遍的な心の交流としてもとらえてほしいと思います。サティーとはネパール語で『友達』という意味です。
小学5、6年向け 時をつなぐおもちゃの犬 作:マイケル・モーパーゴ あかね書房 |
チャーリー(女の子)は母が、木で作られた古い犬のおもちゃをとても大切にしていることを不思議に思っていました。それが、ある初老のドイツ人と偶然出会ったことで、犬のおもちゃの過去が明らかになります……。作者のマイケル・モーパーゴという人の本は、これまで何冊も課題図書に選ばれています。今年の本も、戦争について物語に取り込みながら、敵味方関係のない、人と人との思いを時代を越えた、切なくて温かい感動的なストーリーで語っています。さりげなく過去のイングランドのサッカーワールドカップのお話が出るのも興味のある子にはおもしろいかもしれません。ぜひ読んだみんなに考えてもらいたい大きな問題を、同世代の女の子の主人公の視点で語ることによって、より身近に感じられるように書かれています。最後まで読むと、この本の題名の意味がよくわかります。
以上の3冊となります。どの本も1冊1冊、作者の思いがあふれています。そして、今年の本のうち、特に、『どこかいきのバス』と『ともだちは、サティー』は、長い本を選びました。本に慣れていない子や、本があまり好きではない!という子には、最初見た目で、うーん、と沈んでしまうかもしれません。でも、がんばって読んでみましょう! ちょっと読んでみれば、きっと、つづきが気になって、どんどん読んでしまうと思います。
NEWSのサマースクール読書感想文コースには、毎年、本の苦手な子がたくさん来ますが、みんなちゃんと感想文を書いてしまいます。読書の喜びは、一生の宝物になります。ぜひ、NEWSに来て、本の楽しさ、おもしろさを感じてください。気がつくと、ばっちり宿題まで完成していますよ!! お待ちしてます!
NEWS板橋校室長
三木 裕