台風の大きな被害が出ております。川の氾濫など、本当に自然の恐ろしさをまざまざと見せつけられたように思います。立て続けの被害にあわれた方も多いようです。一日も早い復興をお祈りいたします。
イラストレーターの和田誠氏がご病気のため亡くなられたというニュースもありました。自分が子どものころから、とてもたくさんその絵を見てきました。残念です。ご冥福をお祈りいたします。
いろいろな作家さんの本のイラストや表紙を描かれていますが、ぼくがやはりいちばん最初の思い浮かべるのが、星新一氏のショートショート集です。うちに何冊あったでしょうか。真鍋博氏と和田誠氏の表紙の本がとにかくいっぱいありました。和田誠氏は、他にもたくさんの本の表紙を描かれ、絵だけでなく、あたたかみの感じる文字でも、すぐに和田氏の本はわかりました。
その和田誠氏について、星新一氏が書かれた文章があったので、ご紹介いたします。和田氏が書いた落語についての本の解説からの抜粋です。
『和田さんの本業はイラストレーターであり、その周辺にあるのが落語であり、映画であり、ショウであり、音楽であり、エッセイであり、文体模写であり、ショートショートの作家でもあるのだ。その全体像の解説となると、きりがない。
とにかく、読んで楽しく、あと味のよかったことだけは、たしかでしょ。』
そうなのです。和田誠氏はとにかく多才という言葉がぴったりの人なのでした。映画監督も作詞作曲もデザインもエッセイも、みんなあっさり(かどうかは本当はわかりませんが)できてしまう人なのでした。
ぼくが特に好きだったのは映画に関してのエッセイでした。『お楽しみはこれからだ』という映画のせりふについてのエッセイが大好きで何度も読み返しました。このエッセイで知ってから、逆に古い映画を見て、そのおもしろさを知るということがほとんどでした。そして、どのエッセイを読んでも、星新一氏が書かれているように、『読んで楽しく、あと味がいい』のでした。お人柄もあったのではないかと想像します。好きな作家が亡くなるというのはいつでもさみしいです。また和田氏の映画の本を読んでみようと思います。和田氏の本が目の前にあれば、いつでも『お楽しみはこれからだ』になるわけですから。