このコラムを読んでくれている男性の講師さんに言われてしまいました。
「三木先生は野球の話になると熱が入りますよね」
うーん、たしかに。前回も高校野球の話でしたが、今回もまた野球の話で……。すみません。
プロ野球のジャイアンツに大竹寛というピッチャーがいます。先月、18年目にして100勝をあげました。その日まで99勝99敗の成績で、どちらが先に100になるかというところでしたが、先に勝ちになりました。おめでとうございます。
100勝というのは、かなりすごい数字です。プロ野球の世界では大成功したといえるでしょう。18年現役を続けている(まだしばらくやれそうです)のも、すばらしいことです。
ですが、大竹投手というのは、どうにも、地味な印象があります。もともとはカープの選手で、フリーエージェントという、長く一軍でプレーをした選手にだけ与えられる権利を行使して、ジャイアンツにやってきました。ところが、カープでの活躍に比べて、ジャイアンツでは、あまり活躍できませんでした。
また、運が悪く(といってはいけないですが)、大竹投手と入れ代わりにジャイアンツからカープに入った若いピッチャーがものすごく活躍をしてしまったこともあり、なんとなく、大竹投手は、実績の割には、ファンの評価が低いような気がします。昨年は、退団するのではともいわれておりました。
その大竹投手が100勝をしたときのコメントを新聞で読みました。
「負けて勝って、負けて勝って。そういうピッチャーです。反省を生かしてやってきたし、やっていきます。これからも」
負けて勝って、という言葉に重みを感じます。勝って負けて、ではないのですね。99回負けても、それを糧にしてプロ野球で生きてきたベテランの味があります。野球だけではなく、勉強や、ほかのことでも、負けてしまったあとに、なにができるか、なにができたかが、大事なのだと思います。
監督やコーチのお祝いコメントもありまして、大竹投手は「非常に愛されキャラ」で「ムードメーカー。癒しのオアシス」などと言われていました。こういうベテランがいるとチームの結束なども強くなるのではないかと思います。
いきのいい若手の活躍も楽しみですが、苦労をしたベテランのピッチングも野球の楽しみであります。まだまだ大竹投手にはがんばってもらいたいと思います。ただし、ぼくが応援しているタイガースの試合では、ちょっと困るのですが……。
ちなみに、大竹投手の100勝の記念のウイニングボールが、試合後、行方不明になってしまったとか。愛されキャラの大竹投手らしい気もしますが、なんとか見つけてあげてください! と思いました。見つかったのでしょうか? だといいのですが……。