また野球のお話で恐縮ですが、レギュラーシーズンの試合がほぼ終了し、これから、日米ともにプレイオフで、今年のナンバーワンを決めるという、プロ野球ファンにとっては、たまらない季節となってまいります。そのレギュラーシーズンの大詰めで、ある大物選手の最後の試合をテレビで見ました。
その選手は、ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター選手です。名門チームのキャプテンとして20年もチームを引っ張り、実力はもちろんのこと(メジャー歴代6位の3465本のヒットを打っています。)、人柄についても絶賛されている、伝説の選手です。松井秀喜選手ともいっしょにプレーしていましたのでご存知の方も多いかもしれません。
ジーター選手は、今年で引退することを前から公言しておりまして、ぼくが見たのは、本拠地のヤンキースタジアムでの最終戦のことです。日本人投手の黒田選手が先発しました。じつは、ジーター選手の本拠地最終戦とは知らず、テレビをつけたらたまたまやっていたので見たのでしたが、すぐに試合に引き込まれました。
細かい試合経過をここに書きたい! という誘惑にかられます。ただ野球に興味のない方もたくさんいらっしゃいますので、なるべく簡潔にわかりやすく、書くようにしたいと思います。試合は同点のまま緊迫した投手戦が続いたのですが、7回裏のヤンキースの攻撃で、ジーター選手のバットで勝ち越しに成功! しました。球場中が大歓声です。ヒットではなかったのですが、執念が乗り移ったような一撃でした。こういう大事なところに打席が回ってくるのがさすがだなと思いました。3点差がつき、このまま終了になると思いました。これがジーターのニューヨークでの最後の打席になるでしょう……。
ところが、です。9回表にヤンキースの投手が2本もホームランを打たれ、あっというまに同点に追いつかれてしまいました。お客さんも呆然という感じです。そして、そのおかげで、9回の裏にもう一度ジーターに打席が回ってくることになりました。だれもが期待しています。そして……、ジーターの前にランナーが出て、2塁に進み、ジーターが打席に立ち……。
絵に描いたような、本当にマンガや映画のような展開で、見事にジーターが初球を打って、サヨナラヒットです!! これ以上ないという劇的な最後でした。球場の歓声はとめどなく、ぼくも大興奮してしまいました!! 本当に野球の神様に愛されているプレーヤーなのだな、と思いました。もし9回で終わっていても、すばらしいゲームとして思い出になっていたと思います。でも、ジーターはそれではぜんぜん終わらないのですね。すごいとしかいいようがありません。ただ、セレモニーに参加するために球場に来ていた元チームメイトの松井秀喜はこういっていました。
坂本竜馬が、西郷隆盛を評したときの勝海舟の名言「知言なり」を思い出します。評する人も、評される人も。あまりの興奮に短くするつもりでしたが、また長くなってしまいました。このところ長めになってしまってすみません。本当は、このあと、同じ日に優勝を決めた巨人のある選手について書こうと思っていたのですが、こちらは次回に書きたいと思います。ジーター選手のようなスーパースターではない選手ですが、とても印象的なできごとが、その日の夜のジャイアンツの選手たちへの優勝インタビューで出てきたのです。阪神ファンのぼくにとっては地味ながらとても憎い(?)選手でもあるのですが……。野球の神様について考えてみたくなりました。では、また次回のコラムをご一読いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
NEWS板橋校室長
三木 裕