作文倶楽部の11月の授業では、秋の詩に挑戦してもらいます(高学年の子は詩のあと小川未明『時計のない村』をテキストに使用する読書感想文を11月中に完成させます。)。季節感を表現するというのは大人でも難しいことですが、子どもたちの感性は、はっとするような作品を毎回作ってくれます。今年も楽しみです。そして、高学年の子には、倒置法や、擬人法、直喩、暗喩、体言止め、反復法など、入試でもよく出る技法についても、いっしょに勉強してもらおうと思っています。
たとえば、次の詩を読んでみてください。
きんいろのかみが
かぜにゆれる
かかしがいった
「おう、あっちもきんいろだぞ」
そこには
おおきな
おおきな
きんいろのうみ
いなほがゆれる
いなほがゆれる
いなほがゆれる
いなほがゆれる……
きんいろのうみは
かぜのみちをおしえてくれる
とうもろこしの
きんいろのかみが
そっと
そちらをゆびさしていた
擬人法、体言止め、反復法などが使われています。技法にこだわりすぎて、もうひとつかも……。と思われた方が多いかと思います。正解です。この詩は、例として、ぼくが作った詩(?)なのです。お恥ずかしい……。題名も考えるのを忘れました。
これだけではなんですので本物の詩人の秋をご紹介しましょう。
サトウハチロー
ゆれてるすすきに 秋がある
さらりとしている 秋がある
とびたつイナゴに 秋がある
さびしいみどりの 秋がある
友と歩く 友と歩く
その足音にも 秋がある
誰かを呼ぶ手に 秋がある
答える返事に 秋がある
流れる小川に 秋がある
浮いてる木の葉に 秋がある
友と唄う 友と唄う
その唄声にも 秋がある
遠くのけむりに 秋がある
消えてく色にも 秋がある
ただよう匂いに 秋がある
静かにしみこむ 秋がある
友と仰ぐ 友と仰ぐ
その青空にも 秋がある
さすがですね。心に染みます。子どもの詩には子どもの詩のすばらしさ、本物の詩人には本物の詩人にしかつくれないすばらしさがあり、そのふたつのあいだの大きさが、言葉の豊かさになります。下手は下手なりにぼくも昔は詩を書いてみたりしていたのですが……。もっと勉強しなければ! 子どもたちの詩や作文をもっともっと読んで、心と言葉をみがきたいと思います!
NEWS板橋校室長
三木 裕