2015年が始まりました。今年もNEWSは、おもしろいこと、楽しいこと、来てくれたみんなを喜ばせること、将来の役に立つこと、好きなことをもっと好きになること、一人ひとりが幸せになることを、実現していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年は未年ですね。ヒツジの出てくる物語といえば……、と考えてみたのですが、どちらかというと、主役ではなく、主人公のそばにいる脇役が多いような気がしました。『ひつじのショーン』というクレイアニメもありますが、あのかわいいヒツジたちももともとは『ウォレスとグルミット』からのスピンオフだったように思います。
ぼくが、ヒツジが出てくる物語として思い出すのは、やはり『星の王子さま』です。といっても、ヒツジが活躍するわけではなく、王子さまがはじめて出てきたときに、ヒツジの絵を描いてという場面があっただけです。何回も描き直しをさせられ、結局、箱の中の見えないヒツジを描きましたが、王子さまは大喜びをするという、あの有名な言葉(もっとあとで出てくるのですが)「だけど、目では、なにも見えないよ。心でさがさないとね」という言葉にもつながる印象的な場面です。
『星の王子さま』に出てくる言葉たちは、かんたんな言葉でありますが、とても胸に響くものばかりです。作文倶楽部の授業でもテキストとして使用していますし、これまでも何度も、このコラムのページや、NEWSのFacebookでもご紹介してきました。2015年のスタートとして、今回、たくさんご紹介したいと思います。
ぼくは、おちついてはいられませんでした。キツネのことを思いだしていたのです。仲のよいあいてができると、ひとは、なにかしら泣きたくなるのかもしれません。
「だって……かなしいときって、入り日がすきになるものだろ……」
「一日に四三度も入り日をながめるなんて、あんたは、ずいぶんかなしかったんだね?」
あの男は、王さまからも、うぬぼれ男からも、呑み助からも、実業屋からも、けいべつされそうだ。でも、ぼくにこっけいに見えないひとといったら、あのひときりだ。それも、あのひとが、じぶんのことではなく、ほかのことを考えているからだろう。
涙の国って、ほんとにふしぎなところですね。
「まるで、おとなみたいな口のききようをする人だな!」
おとなって、ほんとにへんなものだなあ、と、王子さまは、旅をつづけながら、つぶやきました。
人は、気のきいたこといおうとすると、なんとなく、うそつくことがあるものです。
「うれしいな、きみが、ぼくのキツネとおんなじことをいうんだから」
「ぼくと遊ばないかい? ぼく、ほんとにかなしいんだから……」
「あんたのその金色の髪は美しいなあ。あんたがおれと仲よくしてくれたら、おれにゃ、そいつが、すばらしいものに見えるだろう。金色の麦をみると、あんたを思い出すだろうな。それに、麦を吹く風の音も、おれにゃうれしいだろうな」
王子さまは、なにがたいせつかということになると、おとなとは、たいへんちがった考えを持っていました。
「もし、あんたが、おれと仲よくしてくれたら、おれは、お日さまにあたったような気もちになって、暮らしてゆけるんだ」
「人間ってやつぁ、いまじゃ、もう、なにもわかるひまがないんだ」
「あんたが午後四時にやってくるとすると、おれ、三時には、もう、うれしくなりだすというものだ」
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」
そして、おとなたちには、だれにも、それがどんなにだいじなことか、けっしてわかりっこないでしょう。
人が知っていなければならないすべてのことが、『星の王子さま』という一冊の本の中につまっているような気がします。王子さまがふとNEWSにあらわれたとき、なんというでしょうか。王子さまが好きになってくれるような場所でありたいと願います。今年も一年間NEWSをどうぞよろしくお願いいたします。
NEWS板橋校室長
三木 裕