特に理由も無く図書館で目に付いたので借りてみた重松清の小説『あすなろ三三七拍子』という上下巻の本を、読み始めたらやめられず2冊一気に読んでしまいました。読み終わって知ったのですが、テレビドラマにもなっていたのだとか。そういえば、うっすらCMで見たような……。ドラマはぜんぜん見ていなかったので気がつきませんでした。
この本は45歳のサラリーマンが社長の命令で、社長の母校の存続の危機にある応援団に入ることになり、いまどきの学生たちや、フェミニストの教授、吹奏楽部、チアリーダー、ライバルの大学の応援団たちとときに反発し、やがて理解しあいながら、応援団の存亡を賭けてがんばる物語です。特に応援団OBのめちゃめちゃさ、理不尽さがすごいですが、ときどき、主人公と同世代という悲哀(?)が共感を持って描かれ、ほろりとさせます。あとがきを読むと、ほとんど実在の人物をモデルにしているとか。すごい世界です。返事はなにがあっても、どんなときも、絶対に、押忍!だそうです。最後は、重松清らしい、さわやかで、感動的なラストシーンで終わり、いい気持ちで本を閉じました。
この本の登場人物は、みんな一生懸命でした。それぞれに置かれている環境も、年齢も、性別も、夢も、悩みも、なにもかもがちがいますが、みんながんばっていました。先日終了したNEWSの展覧会『リトル・アーティスト展』のあとに読み終わったこともあり、つい、NEWSの子たちのことを考えてしまいながら読みました。NEWSの子たちも、みんながんばっています。絵であったり、習字であったり、実験であったり、英語であったり、洋服を作ることだったり、そろばんだったり、勉強であったり、やっていることや、やり方はちがいますが、自分の将来のために、みんながんばっています。リトル・アーティスト展がすばらしいものであったと思えるのは、全部NEWSの子どもたちのおかげです。ぼくらは、その応援団なのです。
この本に出てきましたが、応援団は野球の試合中、常に背を向けているので、試合を見ることがありません。けれども、選手たちの様子が、いまどんな顔をしているのかが、よくわかるのだそうです。自分たちは試合をすることはできない、だからこそ、全身全霊で応援するのだそうです。
ぼくらは、NEWSの子どもたちのために、しっかり応援できているでしょうか。つねに子どもたちのそばにあり、大きな声でエールを送り続ける応援団でありたいと思います。押忍!!
NEWS板橋校室長
三木 裕