作文倶楽部の授業中に、はっとする瞬間がありました。小2の男の子が書いてくれた作文の一行です。その子は、以前に飼っていた犬の散歩のことを思い出して書いてくれました。川沿いを歩き、桜がたくさん咲いていたそうです。いろいろ質問をして、ではここで、そろそろ犬の散歩をしたことを書こうか、というところです。その男の子は書きました。
ぼくの頭の中では、ぼくは犬『の』さんぽをしていました、と書くかなと思って見ていました。そのあとはどうつづけるかな、といった感じで。ところが、その子は犬『と』さんぽをしていました、と書いたのです。ぼくは、はっとしました。その子にとってのおさんぽは、犬の運動などではもちろんなく、さんぽをさせているというわけでもなく、いっしょにするものなのですね。大好きな友達といっしょにさんぽを楽しんでいるのです。
たった1文字のちがいで、作文ががらりと変わります。世界が変わります。その1文字は、残念ながら、大人の指導からは生まれません。ぼくらにできるのは、その1文字を見逃さないことだけです。子どもたちの作文にはたくさんの宝石が詰まっています。黄金が眠っています。海賊のように根こそぎ奪っていきたいです! いや、奪っちゃだめですね。探し続けるということです。金銀財宝ざくざくの地図を片手に(この地図にはNEWSと書いてあります)、これからもたくさんの作文を読んでいきたいと思います!
NEWS板橋校室長
三木 裕