このコラムなどでも何回か書いているのですが、ぼくは、大阪生まれの大阪育ちの父親の影響を受け、ずっとプロ野球の阪神タイガースを応援しております。今年は久々の最下位になり、居心地がいいとは思いませんが、まあ、昔は毎年こうだったな、と思ったりしました。
そして、最下位からの脱出をたくし、矢野二軍監督が来年の一軍の監督になることになりました。ぼくは矢野監督が現役のころからずっとファンでした。なんと誕生日が同じなのです。もともと中日の選手だったのですが、阪神にトレードで移ってきたときには運命だと思いました。矢野監督が現役時代は主力として優勝をしました。来年の阪神もきっと優勝すると思います(今年も始まる前はそう思っていましたが……)。
さて、その矢野燿大監督ですが、阪神ナインに「読書のススメ」を説いているそうです。秋季キャンプ中も早朝の読書を欠かさなかったという読書家の矢野監督は現役後半に司馬遼太郎の小説にはまり、今ではアドラー心理学や伝記など、さまざまなジャンルを読みあさっているのだとか。今の指導哲学にもつながっている実感があるため、読書は選手にもプラスになると確信し、「読んだ方が絶対にいい」と力説したそうです。
すごいですね! しかし、この話にはさらにつづきがありました。引用します。
『ただし、強制的ではない。なぜなら、自身も30代前半の時期に当時の野村監督に勧められながら、実行に移せなかった過去があるからだ。「野村克也監督からはすごく『本を読め』と言われた。なかなか受け入れる側に余裕がないと…。学校の先生とかに言われても『そう言われても』ってなるやん。だから、あまり強制するものでもないし、強制してもあまり身につくものではない」と自身の経験をもとに説明した。』
いつも、子どもたちに本を読むことをかなり強制しているぼくは反省しました。矢野監督の記事はつづきます。
『あくまでも選手個人が興味を持ち、自ら本を手にとって読み解くことが重要。その上で「どうやってやるかと思ってやれば、すごく吸収できると思う」と自身の現状と重ね合わせ、レベルアップしていくためにはどうしたらいいかという視点を持っていく。そうすれば先人が文章に記した考え方や経験は、自らの血となり肉となる。』
なるほど、ですね。自分から手にとって、ということが大事です。また、読みながら、さらに考えること……。そうすれば、きっと今後の野球生活にも役に立つ、ということでした。来年の阪神の選手の活躍が大いに期待されます。
本が嫌いな子をどうすれば本好きにすることができるでしょうか? という質問をよく受けます。たしかに、本が好きというだけで、お勉強に関しては、かなり有利な部分があるのは事実です。でも、強制だけでは、本好きにはならないというのも事実かと思われます。では、どうしたらよいでしょうか? 矢野監督の言葉にその一つのヒントがあります。
キーワードは実感ですね。読んだことが学校の授業で出てきたとか、テレビで出てきたとか、なにかの役に立ったとか、本で読んだことを話したらものすごい受けたとか、だれかにめちゃめちゃ褒められたとか、『本を読んでよかった!』という実感を持てるかどうかが鍵になります。何を読むか、よりも、どんな本でもいいので、そういう実感を得られるように、まわりの大人たちががんばってあげるといいのでは、と思います。
たった一冊の本が、阪神の選手をスーパースターにするかもしれません。そして、NEWSの子たちも、まわりの大人たちの一言で、スーパースターになるはずです。どちらも、将来が楽しみです!