子どもたちは質問が大好きです。勉強に関する質問……ばかりでなく、とにかくなんでも聞いてきます。答えられるものはなるべく答えるようにしています。そこから、お話がふくらんでいくこともあると思いますので。たとえば、とつぜん『歴史上の人物でだれが好きですか?』と聞かれたりします。そういう質問をする子は、たいてい、自分の好きな歴史上の人物がいるのですね。テレビで見たとか、本に出てきたとか、漫画やゲームに出てきたとか、きっかけはいろいろあると思いますが、せっかくの好奇心の芽を、大きく伸ばしてほしいと思います。
いまNEWSに通っている子たちにもちょうどその年齢の子たちがいます。まだあまりピンとこないかもしれませんが、70年ぶりの改正とのことですから、選挙のときには歴史的な一歩となるでしょう。投票率も上がるのではと思います。
ちなみに、ぼくの好きな歴史上の人物は高杉晋作です。司馬遼太郎の『世に棲む日日』を読んだのがきっかけでした。晋作の辞世のうた「おもしろき こともなき世を おもしろく」にしびれたからです。このうたを詠んだとき、晋作はもうかなり体が悪く、その先をいえませんでした。そこで傍らにいた野村望東尼という尼さんが、このままで終わってしまってはいけないと、「住みなすものは 心なりけり」を付け加えたといわれております。司馬遼太郎はスケールの大きい上の句と比べて、ありきたりな感じで……と書いておりますが、晋作は「おもしろいのう」とつぶやいた、と書いています。たしかに、最初の五七五ですべて語ってしまっているかなあ、とは思います。
この野村望東尼という人も、幕末の志士たちをかくまったり、自分も幽閉されたり、島流しにあったりと激動の時代に生きた人だそうですが、高杉晋作との交流しか、ぼくは知りませんでした。それで、ふと思いついて少し調べてみたところ、野村望東尼の歌がたくさんあることを知りました。そして、季節、恋、孤独などをうたったもののなかに、以下のふたつを見つけました。
もののふの重荷の罪を身一つに負ひてかろくもなる命かな
幕末を生きた同士たちを思ってうたったものだと思われます。消えてゆく空の虹、もののふと、残された自分をうたにしたのではないでしょうか。野村望東尼も維新の直前に亡くなるのですが……。少しの間、その時代のことを思いました。わずか150年ほど前のことなのですね。志士たちは、いまの日本をどう思っているでしょうか。
ぼく自身もまだまだ好奇心の芽を持っているつもりです。みんなに負けないように、大きく育てていきたいと思います!
NEWS板橋校室長
三木 裕