ふとこんなことを思いついてしまいました。運動会で俳句を作る、というのはいかがでしょうか?
NEWSの作文倶楽部の授業で俳句を作ってもらいます。学校の授業でも作るときがあるようです。また、定期的に行われるNEWSの特別野外授業のときにも、俳句を作ってもらうことがあります。ためしに、いままでの作品を探してみたところ、主に春の句がたくさん出てきましたので、寒い冬を忘れるように、ほんの少しですがご紹介しましょう!!
新しい 先生いっぱい どんな人
いもほりに でっかいはちが とんでいた
てうちうどん ほうちょううまく できました
春だけど 私の花だんは なにもない
くっついて 兄弟みたいな さくらんぼ
春の花 小さな太陽 いっぱいだ
ちょうちょがね 春だ春だと 飛んでいる
春の花 名前は不明 なんだろう
滝流れ 人がいたって ようしゃなし
春の日が 東京タワー てらしてる
公園に 春をさがしに 犬とくる
ひなまつり しろざけをのみ うっとする
土の中 もぐらのへやは あたたかい
ランドセル 一日せおった もうぼろだ
小さい手 六年生の ぬくもりを
大きらい 鼻がむずむず 花粉症
たきにはね みどりがいっぱい うかんでる
たけのこは ちゃいろいつのを 立てている
なの花や 二人でいっしょに かくれんぼ
でぶがえる いっぱいはねて ダイエット
たんぽぽは 風といっしょに あそんでる
葉の間 さしこんでくる 日の光
みんなすごい上手ですね!
俳句のための吟行などは特にしなくても、子どもたちのやわらかな感性は、わりとすぐにすばらしい俳句を作ってくれます。ただ、それでもやっぱり、どこかへ出かけたり、実際に体験したりして作った句のほうが、おもしろい発想になることが多いような気がします。
さあ、そこで最初に書いた提案です。NEWSにはいろいろなコースがあり、野外授業も行いますが、運動会はしたことがありません。お昼ごはんの前とか、短い時間で一句ひねってもらうのはいかがでしょうか? 躍動感あふれる俳句が期待できそうです。できた俳句の中から校長先生が秀句を選び、運動会のポイントに入れると盛り上がるのではないでしょうか? 実際には見たことがないのですが、近頃の運動会の中には、勝敗がつかないようにみんなでいっしょにゴールをする、という話が話題になったりしました。運動のできる子ばかりが注目されるので、全員が同じように目立たないように……という発想だと思われます。でも、これだとせっかく運動が得意な子ががっかりですよね。運動会に俳句を、というのは、運動は苦手な子にも、運動会で注目され、勝利に貢献できるチャンスを作る、全員をそれぞれ主役にするという発想のつもりです。それでは『運動会』ではないといわれるかもしれませんが、まあ、俳句も、感性の運動ということで……。徒競走ではビリだったけれど、すばらしい俳句のおかげで逆転し、ヒーローになる子がいるかもしれません。できれば運動会が終わった直後も俳句を作ってほしいですが、もう疲れてしまっていますね。
得点をつけてというのはあとで思いついたことですが、スポーツの高揚感や楽しさ、仲間たちとの喜びなど、俳句にしてみたらきっとおもしろいと思うのです。ラグビーのワールドカップやオリンピックなど、世界の注目を集める大イベントが数年後に行われます。そのときに、全国の小中学校の運動会で日本の伝統詩である俳句を作っている姿を見れば、きっと世界から日本が尊敬され、世界中に俳句も広まるのでは……とどんどん想像してしまいました。
いかがでしょうか? へんですかね。野外授業で俳句をやると、最初はみんなつまらなそうな顔をするのですが、作ってみると、みんなけっこう楽しんでくれます。運動会でも、きっと楽しいと思うのですが……。いつか、どこかの学校でやってみてほしいですね。
NEWS板橋校室長
三木 裕