新聞でおもしろい記事を見つけました。『プラセボ効果』というのをご存知でしょうか? 本当はなんでもない錠剤を、「これはものすごくよく効く薬です」と伝えてから飲んでもらうと、実際によくなってしまうことがあり、その効果のことをいいます。病は気からといいますが、本当にあることなのです。
そして、新聞では、さらに驚くことが書いてありました。『プラセボ効果』は、偽薬だと知らずに飲んでいる人にだけ起こるわけではなく、偽物だと知っている人が飲んでも起こることがある、という研究が発表されたそうなのです。
その内容ですが、3ヶ月以上の慢性的に腰痛を患っている患者さん97名を二つのグループに分けました。もともと全員が治療を受けていたのですが、一つのグループはその治療ではなく、「偽薬」と書かれた効果の無いカプセルを飲んでもらい、もう一つのグループはこれまでの治療を続けてもらいました。そして、3週間後に痛みの程度を調べてみますと、偽薬を飲みつづけたグループは28パーセント減、従来の治療をつづけたグループは、5パーセント減、とはっきり差が出たということなのです。つまり、効果がないとわかっていても『プラセボ効果』を期待して飲んだら、ほんとに『プラセボ効果』がおこったということなのですね。
慢性の痛みというのは心理的な影響を受けやすく、事前に『プラセボ効果』の説明を受けていた患者さんたちは、偽物でも信じれば効くはずだという期待と希望が、痛みを和らげたのかもしれないと記事の最後に書かれていました。
うーん、人間の体というのは不思議ですね。嘘だとわかっていても信じるということができるのも人間だけでしょうし、実際にそれで治ってしまうこともあるなんて……。そう考えると逆もあるのでしょうか。本当は治っているのに、絶対に治るはずないと信じ込んで悪化してしまう……。怖いです。
この記事の実験の数字が、どの程度高く、また信憑性の高いものなのかわかりませんが、気持ち一つで、人間の可能性というのは、どんどん大きくなるのは確かなように思います。NEWSの子たちにも、マイナスの発言をする子がいます。けれども、「どうせできない」「ぜったいむりだ」そう思う気持ちに打ち勝って、「これだけがんばったんだからできるはずだ」という気持ちを持ってほしいです。そう思うだけで、少しできるようになっているかもしれないのですから。よい方向への可能性を、自分で止めてしまうことだけは、なくしてほしいなと思います。
NEWS板橋校室長
三木 裕