先日、国際的な学習到達度調査(PISA)の結果が発表されました。『脱ゆとり』世代の調査結果としても注目されていましたが、「科学」「数学」の順位が(現在の調査法になって以来)最高になるなど、成果もあったようです。しかし、読解力に関しては順位が下がり、課題が出たとニュースや新聞などで報道されていました。また、科学について、「学んでいる時はたいてい楽しい」と答えた日本の生徒の割合が、参加国平均(62.8%)を大きく下回っていた(49.9%)ことに危機感を持つ理科系の先生方の声も多かったようです。今回、はじめて問題が紙ではなくコンピューター使用に変わったということで戸惑った子どもたちが多かったのではないか、という指摘もあり、読解力の低下はそれが原因なのではないか、という意見もありました。
いくつか問題を見てみましたが、わりとおもしろい問題ではないかと思いました。知識だけではなく、それを生かして考える問題となっているようです。表の読み取りから推理する問題なんかもあり、これまでの調査もそうでしたが、日本の中高一貫校の入試問題に出てきそうな問題という感じがします。
読解力に関してはどうでしょう? 文学的な文章、古典の文章を読む、理解する、味わう(?)といった力はもちろん必要ですが、読解力として求められているものが、どちらかというと、算数の文章問題の意味を正しく理解できる力であるとか、たくさんの文章(図や表なども含む)を分析したりする力などを求められているような感じもします。どちらも必要ではありますが、活用する力(リテラシー)を、より評価したいということなのかもしれません。また、スマホなどの影響で、長くて、筋道だった文章を読む機会が減っているのではないか、という意見も新聞に出ていましたが、そういう影響は、今後ふえる可能性が高いと思われますので、国語の指導などにも変化が必要かもしれません。
科学への興味関心の低下に対しては、NEWSもサイエンスコース、ロボットコースがありますから、大いに気になるところです。NEWSのサイエンスコースのような理科実験を専門に扱う場所や塾は、NEWSができたころはほかにほとんどありませんでしたが、いまは大手塾や自治体なども含め、かなり増えてきているように思います。それでも、興味関心は下がっているのでしょうか。NEWSに来ている子たちを見ますと、好きな子の、とことん好きという意欲は、前より強くなってきているようにも見えるのですが……。もともとNEWSはそういう子が来るところだからかもしれません。新聞記事では、科学の本を読む「理科読」を広げたい、という記事もありました。ぼくも子どものころは科学の本はたしかに好きだったような気がします。いまの子たちがよろこぶような、おもしろい本があるといいなと思います。
そして最後に、やはりコンピューターが気になりますね。日本の小学校でもプログラミングが必修になるということもあり、ある程度のパソコンの習熟というのが、早い段階で必要になってくるかもしれません。
というわけで、PISAの調査に関しまして、いろいろと、とりとめもなく、感じたことを書いてみました。読解力も、科学も、パソコンも、子どもたちは楽しく、しらないうちに学んでしまうということができればいいなと思います。子どもたちが本来持っている学ぶことをよろこぶ気持ちを、NEWSの授業で味わってほしいと思います。
NEWS板橋校室長
三木 裕