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第514回

司馬遼太郎とセカイノオワリの『正義』の話をしよう

NEWS板橋校 三木裕

2017.10.20更新

 司馬遼太郎のエッセイを読んでおりましたら、『正義』について書かれている場所が目に留まりました。いくつか書いてみます。

『正義という人迷惑な一種の社会規範は、幕末以前には日本になかったといっていい。言葉も、幕末に日本語になった。』

『正義という多分に剣と血のにおいのする自己貫徹的精神は、善とか善人とべつの世界に属している。』

『正義という電球が脳の中に輝いてしまった人間は、極端な殉教者になるか、極端に加害者にならざるをえない。』

 かなり厳しい言葉が並んでいます。どう考えても、『正義』という言葉をよく思っていないことがうかがえます。氏の書かれたたくさんの小説から想像するに、正義という概念というよりも、それを絶対的なものとして、権威を振りかざしたり、力ずくですべてを決めてしまうようなものへの怒り、抵抗の表れではないかと思われます。それにしても、はっきりと書いているところが、すごいと思いました。

 そして、『正義』という言葉が使われている歌が、ぼくの脳裏に浮かびました。セカイノオワリ(SEKAI NO OWARI)の『Dragon Night』という歌です。でかいトランシーバーみたいなものを持って歌っています。別にファンというわけではなく、といいますか、ぜんぜん知らないのですが、たまたまこの歌だけは知っていました。そこに正義という言葉が出てくるのです。

『人はそれぞれ「正義」があって、争いあうのは仕方ないのかもしれない
だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ』

『人はそれぞれ「正義」があって、争いあうのは仕方ないのかもしれない
だけど僕の「正義」がきっと彼を傷付けていたんだね』

 そして、最後にこう歌います。

『今宵、僕たちは友達のように歌うだろう
今宵、僕たちの戦いは「終わる」んだ
今宵、僕たちは友達のように踊るんだ』

 
 うーん。甘いですねえ。きっぱりとした覚悟の司馬遼太郎のあとでは、これでいいのかい、とお説教でもしたくなります。

 ただし。その一方で、この甘さが必要なときもあるのかも、とも思ったのですね。もっとかんたんに、いいからとりあえず踊ってみようよ、そんな気持ちがあまりにいまの世の中は足りないんじゃないの、という気もするのです。いま、毎日、選挙の車が走り回り、テレビや新聞やインターネットで、さまざまな立場の正義が語られています。来週には結果が出ているわけですが、その結果で、この国は前よりもよくなるのでしょうか。人の話を聞かない人ばかりいるように見えますが、もういいから、まずいっしょに踊ってみるところから始めたら? そんな甘さが、もしかしたら、世の中を変えるのかも、と思ってしまうぼくも、かなり甘い人間なのでしょうか?

 ふだん、たくさんの子どもたちといっしょにいると、みんなはみんななりにすごくたいへんで、いろいろな『正義』や『争い』に疲れている子も多いように見えます。NEWSにいるあいだは、好きな歌をうたってほしいな、と思っています。いつか、その歌が世界を変えるかもしれません。

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商号
株式会社 NEWS(ニュース)
創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
事業内容
子どもの総合教育企業。
子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
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設立:2008年10月1日
■子役養成機関(NEWSエンターテインメント)
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設立:2010年10月1日
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