昨夜のテレビに、子どもたちに大人気の『かいけつゾロリ』シリーズの作者原ゆたかさんが出ておりました。最新刊はなんと60冊目で、総計3500万部も売れているのだとか。すごいですね。
昨夜は原ゆたかさんのインタビューがあったのですが、その中で、こんな発言がありました。
「ぼくも子どものころ本を読めなかったんですよ」
本が苦手で、ぜんぜん本を読まない子はたくさんいますが、ゾロリの作者もそうだったのです。だからこそ、本が嫌いな子たちにも読んでもらえるように絶えず工夫をしているといっていました。だじゃれのノートを作っていて、それを更新しつづけたり、イラストの中に隠れた絵があったり、ページとページをくっつけて違う絵にしたり、ものすごく細かい図解があったり、次のページから吹き出しだけが出ていたりなど、どのページにもアイディアとギャグが満載です。ただのダイヤの指輪と書かずに、きみのママもほしがる40カラットのダイヤモンドゆびわと書いたりしてあります。読んでいる子どもたちへのメッセージもありますね。ここのページは大人には見せないようにしよう、とか、ここは勉強にもなるからママにも見せようとか……。表紙の裏や、カバーの裏まで、とにかく、いろんなページにたくさんの仕掛けをほどこすことによって、何度も読み返したり、次のページをめくりたくなるようになるようです。作者が本が嫌いな子の気持ちがわかるので、先を読んでもらうようにはどうしたらいいかがわかるのでしょう。また、本屋さんで、ゾロリを読んでいる子たちがどのページで本を閉じるかを観察して、研究したともいいます。そういった本を最後まで読めるようにする工夫が大成功しているのは、ゾロリの本がこんなにも売れていることで証明されています。
ときどき、NEWSにお通いの生徒さんのお母さまなどから、うちの子は本を読まないので……、とか、ゾロリしか読まないので……といった、心配の声を聞きます。たしかに、ぜんぜん読まないのは心配ですが、ゾロリを読んでいるのなら、まずはよいのではないでしょうか? ぼくは本について聞かれますと、ゾロリでも、漫画でもいいので、なんか読んでほしいですね、と答えます。あるいは、サッカーでも野球でも恐竜でも怖い話でも、自分の興味のある本とか。
本を1冊最後まで読むことは大変です。読み終わったらぜひほめてあげてください。できれば、おんなじ本をいっしょに読んでいただいて、ご家族で話していただけると、もっと喜んでくれると思います。ためしに、ゾロリの本もいっしょにご覧になってはいかがでしょうか? 作者の、最後まで本を読んでほしい! というサービス精神に触れて、本を読むおもしろさを再認識できるかもしれません。ぼくも、しばらくご無沙汰でしたので、ちょっとまた読んでみようかと思います。