新聞で、ヒグマと人が近づき過ぎてしまったのではないか、という記事を読みました。
野生の怖ろしさだけではなく、観光資源としてヒグマの価値をとらえ、人間との共生を模索しているうちに、人を怖れない若いヒグマが育ち、逆に、人間の生活圏に現れるようになり、駆除されるというケースがあるのだそうです。
観光客が与えた食べ物の味を覚えたことなどが、人の住む場所に来るようになった原因の一つのようです。
先日亡くなられてしまったカヌーイストの野田知佑氏の本に、それ以前に亡くなられた写真家星野道夫氏の話が書かれておりました。
星野氏はヒグマに襲われて死んだのでした。しかし、星野氏は銃を持たずに写真を撮ることにこだわり、それが主義であり、生き方だったのだそうです。野田氏が書かれています。
『彼は、その信念で死んだのだ。これは、兵士の壮烈な戦死なのである。』
自然を破壊しつくそうとしてから、ようやく自然保護に目覚める人間に、ヒグマなど野生の生き物はどれだけ迷惑したことでしょう。もちろん、ぼくもその人間の一人なのですが。未来の子どもたちにとって、ヒグマとの距離はどのようになっているでしょうか。
ヒグマだけではなく、あらゆる生き物と人との距離、そして、人と人との距離、国と国との距離など、たくさん考えることがありそうです。未来への宿題ではなく、いま考えなくてはいけないですね。