先日、漫画家水島新司先生の訃報のニュースを見ました。『ドカベン』『野球狂の詩』『あぶさん』など、もうずっと読んでおりました。ご冥福をお祈りいたします。
そして、その日の深夜、テレビでたまたまスヌーピーの生みの親、漫画家のシュルツについての番組をやっておりました。ほんとうに偶然見たのですが、ふたりの漫画家について考えてみました。
まず、漫画家としての息の長さですね。四十年、五十年とふたりとも描きつづけています。スヌーピーは新聞連載、ドカベンは週刊誌連載という激務の中で、クオリティを落とさず、描きつづけるというのは、ものすごいことだと思いました。きっと、漫画を書くことがとにかく好きだったんだろうなと思います。
そして、このふたりの作品の登場人物たちは、一人ひとりみんな特徴があって、魅力的なのがすごいなと思いました。ドカベンの主人公の山田太郎はものすごいバッターですが、わりと地味な感じでもあります。むしろ、岩鬼、殿馬、里中、微笑、土井垣というチームメイトたちのほうがすごい感じです。ライバルも、不知火、土門、影丸、犬飼、坂田、弁慶などなどみんな個性的です。シュルツの漫画『ピーナッツ』の主人公チャーリー・ブラウンはいつも失敗ばかりですが、その周りには、スヌーピーだけではなく、ルーシー、ライナス、シュローダー、ペパーミント・パティなど、すぐにイメージがわく元気な仲間たちがたくさんいます。ぼくは逆さに飛ぶ鳥のウッドストックと、誇り高きピッグペンが好きでした。
教育の世界でも、個性を尊重しようとか、伸ばそう、ということをよくいいます。とくにぼくらNEWSはそういったことを大事にしているつもりです。しかし、実際にそれを見事に表現しているのが、シュルツの漫画であり、水島漫画なのではないかと思いました。その漫画に出てくるだれもがみんな、自分であることを誇りに思い、ときには負けたり、悩んだりもしますが、それ以上に生き生きとしているように見えます。子どもたちだけではなく、大人たちにとっても、それは生きていくための教科書のような本であったと思います。NEWSでもそんな授業ができたら、と願います。