このところ、朝や夜はずいぶん涼しくなってきたように思います。夏はもう過ぎてしまったのでしょうか。
先日新聞を読んでおりましたら、オフコースの歌が載っておりました。
『たそがれは 風を止めて ちぎれた雲はまた ひとつになる』
オフコースの佳曲「秋の気配」で、小田和正さんは男女の別離を生地横浜の風景に重ねた。淡い喪失感は、秋が持つ別の味だ。
『大いなる河のように 時は流れ 戻るすべもない』
オフコースからの小田ファンであるぼくとしては、読みながらそのまま『こんなことはいままでなかった……』と続きを歌いたくなってしまいますが、これは9月24日の朝日新聞の天声人語に掲載されていた文章です。
あの天声人語にオフコースが! という驚きの気持ちに朝からなりましたが、ファンとしてはみょうにうれしいものです。小田さんが喜んでいるかはわかりませんが……。
たしかにいまごろの時期になると、秋の気配という言葉が頭に浮かびます。言葉の持つイメージというのは本当に大きいですね。
『行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。』
こちらは鴨長明の『方丈記』です。もう800年も前のものですが、言葉からくるイメージはいまでもそのまま読むものに響いてきます。
『時をこえて きみを愛せるか 本当にきみを守れるか
空を見て考えてた きみのために いまなにができるか』
こちらはまた小田さんの歌です(『秋の気配』ではありませんが、いま方丈記を読んで、ふと思いつきましたので。『たしかなこと』という歌です)。言葉がふくらむとどこまでも行けそうな気がしますね。
『きみは空を見てるか 風の音を聞いてるか
もう二度とここへは戻れない
でもそれを哀しいと 決して思わないで
一番大切なことは 特別なことではなく
ありふれた日々の中できみを
いまの気持ちのままで 見つめていること
忘れないでどんなときも きっとそばにいるから
そのためにぼくらは この場所で
同じ風に吹かれて 同じときを生きてるんだ』
NEWS板橋校室長
三木 裕