今回のサマースクール『読書感想文コース』のおすすめ課題図書を発表します。今年は、これまでと少しちがっております。1、2年生向けの本を2冊選んだのです。
【小学1、2年生向け】
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『あなふさぎのジグモンタ』(ひさかたチャイルド)
著者:とみながまい・作 たかおゆうこ・絵 |
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『そのときがくるくる』(文研出版)
著者:すずきみえ・作 くすはら順子・絵 |
本の紹介
いつもはそれぞれ2学年に1冊しか選ばないのですが、今年はじめて2冊選びました。どちらもいい本で、1冊にすることができなかったからです。
『あなふさぎのジグモンタ』は絵本です。クモが主人公です。洋服の穴を糸でふさぐ仕事をしています。ところがお客さんが……。
文字数は多めですが、かわいいストーリーと絵で、次々とページをめくりたくなる魅力にあふれています。
『そのときがくるくる』は、ある野菜が苦手な男の子が主人公です。給食でも食べられません。おじいちゃんとおばあちゃんが作ったぴかぴかの新しいものも食べられません。でも、おじいちゃんはにこにこしていいました。「そのときがくるくる」。
共感する子どもさんが多いテーマではないでしょうか。主人公の男の子の気持ちがとてもよく書かれている本です。
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【おすすめポイント】
というわけで、今回は2冊選んでみました。どちらかというと、本が苦手な子が『あなふさぎのジグモンド』、本を読むのが好きな子は『そのときがくるくる』がいいかな、と思いますが、表紙や、イラストや、内容などで、自分でどちらかを選んでもらえたら、と思います。どちらもおすすめです。できれば、小さいうちから、自分で本を読む習慣もつけてもらいたいと思っております。その中で、特に低学年向けの子の本を2冊選べて、自分の意志で選択ができるようにできたことは、よかったのではないかと思っています。
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【小学3、4年生向け】
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『ぼくのあいぼうはカモノハシ』 (徳間書店)
著者:ミヒャエル・エングラー・作 はたさわゆうこ・訳 杉原知子・絵 |
本の紹介
お父さんがオーストラリアに単身赴任中でさみしいドイツ人の男の子ルフスが出会ったカモノハシは、動物園から逃げ出してきた、おしゃべりができるカモノハシでした! ルフスとカモノハシのシドニーは、あの手この手でオーストラリアへ行こうとするのですが……。
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【おすすめポイント】
なんといっても、カモノハシのシドニーの魅力につきます。礼儀正しく、言葉使いも丁寧ですが、けっこう強引で、かなり危険なこともやろうとします。でも、やっぱりお父さんに会いたいルフスは、ついいっしょに冒険をしてしまいます。最後どうなるでしょうか? ハラハラドキドキしながら、本を読むおもしろさを味わってほしいと思います。課題図書の場合、いかにも課題図書っぽいテーマが全面に出ている本がありますが、そんなことを気にしないで、二人(?)の活躍を楽しんだ感想文を書いてほしいです。おもしろい本で感想文を書くというのは、これからの国語の勉強にとっても、とてもいい経験になると思います。
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【小学5、6年生向け】
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『おいで、アラスカ!』 (フレーベル館)
著者:アンナ・ウォルツ・作 野坂悦子・訳 |
本の紹介
スフェンという男の子と、パーケルという女の子が、順番で語る形式の物語です。スフェンにはある病気があります。パーケルにもある問題がありました。最悪の出会いをした二人が、悩み、傷つき、そして、アラスカという名前の犬をはさんで少しずつ……。
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【おすすめポイント】
アラスカはいいところです、ぜひ来てください、という物語かと思いましたが、アラスカというのは犬の名前なのでした。とても愛情たっぷりの犬です。この物語に出てくる病気、問題は、とても深刻なものです。しかし、現実にあることでもあります。ごくふつうの中学生の男の子と女の子の心のふれあいをぜひ読んでほしいです。そして、うーん、ネタバレになるかもしれませんので、言っていいのか悩みますが、ミステリーのサスペンスもたっぷりある本なのです。充実した、読み応えのある一冊でした。最初、少し読みにくく感じるかもしれませんので、生徒さん用にかんたんなプリントもご用意しました。お申し込みの際に、校舎よりお渡しいたしますので、先にそちらから目を通していただければと思います。
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以上、今年は4冊のおすすめとなりました。3年生以上の子には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を使った短期練習コースもありますので、そちらを先にやってから、本格的に6日間のじっくりコースをおこなうのがおすすめです。本を読む楽しさを今年もNEWSの読書感想文コースで、ぜひ体験してみてください。どんな感想文を書いてくれるか、いまからとても楽しみです!