それぞれの分野の第一人者が、1週間くらい、子どもたちに直接指導するというテレビ番組が好きで、よく見ています。スポーツの分野が多いようですが、先日、将棋の森内九段が、中学生の将棋部のメンバーを指導するという回がありました。
森内九段は、あの羽生九段と子どものころからのライバルで、先に活躍したのは羽生九段でしたが、どんどん実力を発揮し、羽生九段よりも先に永世名人の称号を得たレジェンド棋士です。もちろん、いまでも現役ばりばりのトッププロの一人です。
その番組を見ておりましたが、将棋の世界の人は、本当に謙虚な人が多いですね。そうではない人もいるのでしょうが、強い人ほど、謙虚な感じがします。このテレビの森内九段も、子どもたちにも丁寧に話し、レッスンのあとには、中学校の先生にまで、どこか直したほうがいいところはありますか、などと逆に聞いていました。番組始まって以来初めての人かもしれないというナレーションが入っていました。
森内九段は、自分のことを話すときも、負けたときのことを例にします。50年に一度という逆転負けを2年続けてやってしまったとか、わたしも実戦でたくさんまちがえてきましたがとか、見てほしい実戦例にも、自分が負けた試合のビデオを用意したりします。
そんな森内九段が、子どもたちにこんな言葉を話していました。
『負けた悔しさを忘れない。
負けた理由を忘れない。
弱さを認め局面を変えよう。』
将棋のことだけではなく、もっと大きな意味でも心に残る言葉だと思いました。最後のあいさつでも、自分自身錯誤の連続でしたが、あたたかく接してもらえてうれしかったです、受験とかいろいろあると思いますが、前向きに打ち込んでください、と子どもたちに話していました。大人と子ども、名人とアマチュア、先生と生徒、そのどれでもない、将棋を愛する仲間の先輩と後輩のような話し方でした。森内九段からみんなへのプレゼントの扇子には「飛躍、挑戦」と書かれていました。きっと、みんなにとってすばらしい1週間だったと思います。あんな授業をNEWSのぼくらもできるようにならなければいけないと思いました。