2週続けて、プロ野球阪神タイガースを引退した藤川球児投手の話で恐縮です。でも、書かせてください。前回のコラムを読んでくださった方より教えていただいたお話です。
藤川球児投手が引退するにあたり、アメリカのシカゴから本人のもとへ動画が届いたそうです。以前、メジャーリーグに数年間いたときの、スタッフからのメッセージでした。トレーナーや、球場内管理担当の方などが、また、シカゴにも来てくれよ、などといって、にこにこしながら話しかけています。藤川投手も、感極まったようで、そんな思いをツイッターに書いておりました。
シカゴ時代の藤川投手は、残念ながら、あまり活躍はできませんでした。プロ野球選手としては、とてもつらい時期だったと思います。けれども、こうして引退するにあたって、たくさんの人がわざわざアメリカからメッセージを送ってくれるのですから、すごいですね。しかも、選手ではなく、裏方の人たちのメッセージというのが、藤川投手のお人柄を感じさせます。きっと、選手もスタッフも関係なく、人と人としての付き合いをしていたのだろうな、と思います。
さて、引退する選手に関してのメッセージとしては、日本人の感覚からすると、お疲れ様、ご苦労様、ゆっくり休んでください、みたいな言葉が多いのではないかと思います。けれども、今回のメッセージを見ますと、ほとんどの人が、うれしそうに、『引退おめでとう!』というのですね。最初は、えっ、と思いますが、次々とみながそういうので、その感覚がアメリカではふつうなのだと思いました。引退というのは、決して、ネガティブなものではなく、自分の仕事をやりとげて、さらに新しいなにかに挑戦できる次へのステップに立てる権利を得たんだね、おめでとう! みたいなニュアンスに感じられました。メッセージを送る方々のあたたかな笑顔を見て、ぼくもなんだか、とてもうれしくなりました。
プロスポーツの世界で、自分で引退を決め、さらに、引退試合をおこなうような選手は、ごくごく一部だけです。その中でさらに、多くの人に愛され、惜しまれ、祝福される藤川球児投手は、実力だけではなく、人間的にも超一流のアスリートだったのだと思いました。引退おめでとうございます! 次のステージでも、輝いた姿を見せてください!