朝の連続ドラマ『エール』を見ています。いつもなら終わって、次のドラマになっている時期ですが、コロナの影響で撮影できなかった時期があり、いまもつづいています。先日の高校野球の歌『栄冠は君に輝く』をプリンス久志が歌った場面は感動しました。
その久志役の方もそうですが、このドラマにはミュージカル俳優や、歌手の方が多く出演されているようです。ぜんぜん歌う場面のない人にもそういう人がたくさんいるようで、えっ、あの人も劇団四季なの、と驚いたりしました(馬具職人の岩城さんとか、藤堂先生の奥さんになった銀行の昌子さんとか)。
いま、たまたま読んでいる城山三郎氏の本に、劇団四季の主宰者浅利慶太氏のことが紹介されていました。ロマンチストで行動派で、数字に強く、厳しく、謙虚で、つまらないことにこだわらない魅力的な人物のようです。その浅利慶太氏が、劇団四季に入る新人に必ずいう二つの言葉(浅利氏の言葉では『掟』)というのが書かれておりました。
『この世界は不平等と思え』
『自分の時間を持て』
演劇の世界というのはよくわかりませんが、まったくだれもが平等に作品に出演するのが無理だということくらいはすぐに想像できます。理不尽と思われることも多くあるのかもしれません。それでも、そんなことは当たり前と考えなくてはいけないのだと最初に伝えるのだそうです。
そして、その一つ目の掟と重なる部分もあるかと思いますが、だからこそ、自分の時間で先に進まないといけないのだということを教えるのだと思います。人より早く進むもの、ゆっくり進むもの、まったく人と違う時間を進むもの、いろいろいていいのです。ただし、それを自分で意識して進まないと意味がない、ということだと、ぼくは思いました。
この本が書かれてから35年以上経っているようですが、劇団四季はずっとトップ劇団として走りつづけてきました。浅利慶太氏の教えが、多くの劇団員たちに受け継がれているからなのだと思います。上の二つの『掟』は、劇団四季だけではなく、多くの社会人にとって、さらに、これから大人になるいまの子どもたちにも知ってほしい言葉だと思いました。