守備の名手といわれておりますプロ野球ヤクルトスワローズの宮本選手が引退の意向と新聞で読みました。以前のコラムでも書いたことがありますが、プレイヤーとしてももちろんすごいのですがチームリーダー、あるいはもっと大きく日本のプロ野球の発展、進歩という視点をもった選手であることがすごいと思います。今後のことはわかりませんが、間違いなく指導者としてまたグラウンドに立つでしょう。守備名人をどんどん育成してほしいと思います。
さて、先日その宮本選手も関係のあるテレビ番組をたまたま見ることができました。スポーツの番組で、その日は、守備のよしあしをデータで検証するという内容でした。昨年、1年間でヤクルトの宮本選手はわずか5個しかエラーをしませんでした。それに対して広島のある選手は29個もエラーをしておりました。にもかかわらず、あるデータによると、宮本選手よりもその広島の選手のほうが守備でチームに貢献している! という数字になるのだそうです。
いろいろと番組では細かく検証されるのですが、かんたんにいうと、『守備範囲が広い』ので、ボールを扱う機会も多くなりエラーも増えるが、その分相手のチャンスをつぶす機会も多かった、ということのようです。他の選手では点につながっていた可能性が高い打球をアウトにすることが平均よりも多かったことが、データで現されるのだそうです。
番組に出ていた広島ファンの人もいっていましたが、その広島の選手が、宮本選手よりも守備がうまいとは、いくら数字がそうでもちょっと納得できない部分があります。数字では1個のエラーでも、ものすごく大事な場面で、かんたんそうなボールをエラーしてしまうと、士気という点で、1個のエラー以上のものになりそうです。また、多少守備範囲が狭くても、確実なプレーをする選手がいるという安心感が、ピッチャーに好影響を与えることも大いにありえることでしょう。ただし、その広島の若手選手のはつらつとしたプレーが、多くの相手のチャンスをつぶし、味方のためになっているのを数字で表せるのは、すごくいいな、と思いました。
NEWSの作文もなかなか数字では表しにくいところがあります。もちろん、まったくないわけではなく、たとえば1時間で書ける文字数(枚数)というのも大事な指標です。でも、それに関しても、やはり、内容や、テーマの得意不得意などがからんでくると、単純に長さだけでは読み取れない部分も出てきます。
そう考えると、評価の引き出しをいくつ持っているか、どれだけたくさん持っているかが大事になってきます。新たなデータにより、守備が下手だと思われていた選手のすばらしい特徴がわかりやすく提示されたように、ぼくも、みんなのよいところを、ありとあらゆる方向から探していかなければなりません。作文だけではないですよね。国語でも、場合によっては算数でも、絶対にあるはずです。そういう引き出しの多い先生になりたいと思います。
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕