国語のテキストで、名詞+するの使い方が変わってきているという論説文の問題がありました。
勉強する
散歩する
そういった言葉は普通に使われています。それだけではなく、若い人たちを中心に
お茶する
友達する
親子する
そういった言い方が生まれてきている、という話でした。ニュアンスも、なんとなくわかります。正式な言い方ではないですが、広告のコピーや、日常会話では、わりと使われているかと思います。
そのテキストの問題を解いていた小5の男の子に聞かれました。
「一杯する、これもそうかな?」
うーん。お酒を飲みに行こうと誘うときでしょうか? 小5ではもちろん知らないと思いますが、一杯やろう、とか、一杯行く? みたいな使い方はしますが、一杯する、一杯した、みたいな使い方はしないですねえ。残念。
あまり聞いたことないですが、お酒する、という言い方が、この場合正しいかと思います。しかし、『一杯』という言葉は、グラスに一杯とか、みそ汁一杯という言葉を超えて、『一杯』=『どこかでお酒を飲む』という意味の名詞になっているのはもう間違いないと思います。であるならば、「今日の帰り、一杯する?」という言い方も、そのうちに発生してもおかしくないのかもしれません。
もともと、する、と、やる、は意味としてはかぶるものが多く、どちらかというと、やるのほうが口でいうときや、乱暴なニュアンスがあるようです。旅行する、とはいっても、旅行やる、とはいわないように、やるは使用しない言葉もあります。ただ、一杯の場合は、「よし、一杯やるぞ!」みたいに、やるのほうが断然それらしい言葉なので、ジュースやコーヒーではなく、お酒なのかな、と思います。おとなしく、上品に飲むのがむずかしいので、『一杯する』は定着しないのでしょうか? まさか……。
小5の男の子が真剣に考えてくれたので(その子の一杯はジュースだったかもしれませんが)、ぼくもかなりがんばって考えてみました。その子にここまでは説明しませんでしたが、言葉のおもしろさが伝わってくれたらうれしいです。また、なにか探してほしいですね。伝わったのが、お酒を飲む楽しさだけでなければいいのですが……。