新聞、テレビなどで、全国学力調査の結果が発表されております。各都道府県の順位や取り組み、問題の解説など、ごらんになられた方も多いのではないかと思います。
ぼくが今回ちょっと気になったのが次の問題です。
a m の重さがb g の針金があります。この針金の1m の重さは 何g ですか。a ,b を用いた式で表しなさい。
中学3年生の数学A(基本)の問題です。あれ、小6じゃないの? と思ってしまうかもしれませんが、中3です。そして、なんと正答率が33.7%しかありませんでした。無回答率も17.8%という高い数字です。
この問題は3年前の調査でも類題が出ており、そのときは50%以上の正答率がありました。ただし、そのときはa、bではなく数字で出ていたのです。
この1問だけでいまの中学生は……といってしまうのは極端ですが、式を作る力が十分備わっていないということはいえるように思います。では、数字であっても、文字であっても式を作ることは同じなのに、文字になったとたんにできなくなってしまうのはなぜなのでしょう。
ひとつは、式をたてる練習が不十分なのかな、と思います。たとえば文章問題を解くときに、掛け算で解く問題は、掛け算の問題ばかり続けて練習していないでしょうか? 掛け算、割り算、足し算、引き算、どれで解くかをまず考えるところからはじめないと、式を作る本当の練習にはなりません。ふだんの授業ではなかなか難しいかもしれませんが、あえてそういう練習をするのは大事だと思います。
そして、もうひとつ、これはぼくがよく算数を教えるときに子どもたちにいうことなのですが、いかにわかりやすく工夫するか、ということです。実際、今回の問題でも、数字にするだけで同じ問題が、何十%も正答率があがるわけです。ですから、たとえば、
2mの重さが10gの針金があります。
自分でこうかえるだけであっというまにかんたんになります。2mで10gなら1mでは何gですか? 半分にすればいいのですから、10÷2=5で、暗算で解けます。あとは、2=a、10=bに直せば、答えは、b÷aとすぐにできるはずなのです。数字を簡単にしたり、図を書いたり、といった工夫も、ふだんから練習していないとなかなかできないかもしれません。ただ、ふだんから工夫して考える練習をしていれば、はじめて見た問題でもできるかもしれません。ほんとうの意味で理解し、勉強を楽しめるようになること、NEWSでは、そんなお手伝いもしたいと思います。
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕