毎週日曜日の夜、ドラマ『半沢直樹』を一秒も逃さず毎週見ています。前回シリーズもずっと見ていましたが、このシリーズも本当におもしろいですね。先日は、ドラマのつづきではなく、生放送による出演者の裏話の回でしたが、それすらもとてもおもしろいのでした。出演者、監督など和気あいあいとした雰囲気でしたが、なんとしてもいいものを作ろうという現場の熱い気持ちがなんとなく見ていて伝わってくるようでした。最終回まで目が離せません。
どうして、半沢直樹はこんなにおもしろいのでしょうか。原作のおもしろさ、すばらしい俳優陣たちの濃厚な演技、わき役、敵役、チョイ役まで含めたキャスティングの妙、演出、シナリオなど、みなすばらしいのはいうまでもありません。そして、倍返しに象徴される、最後の大逆転劇! 見ると元気になってしまいます。こういう展開を、まるで時代劇のようだ、という人も多いようで、なるほどな、と思います。
ぼくが思うのは、もちろん、これまで書いたことと同じなのですが、その中でも、敵役が悪くて、強い!のが魅力の一つだと思うのですね。悪いだけではなく、悪くて、頭がよくて、強い、これがおもしろさの魅力になっていると思うのです。悪い敵は多くても、本当に頭がよくて、強くて、こんな相手に勝てるわけないよ!という敵は少ないと思うのです。たいていは、すごい悪いだけで、やり方は結構ずさんだったり、隙だらけだったり……。なので、主人公も、悪に勝つためには、まず誠実さや、がんばり、みたいなものを武器にして戦うことが多く、最後のみんなの粘りで大逆転みたいな話になります。それはそれでおもしろいのですが、半沢直樹は、そういう要素もたくさんありながら、それだけでは勝てない相手に勝つのがおもしろいのではないか、と思うのです。
そういう、悪くてかしこくて強い相手に勝つためには、相手を出し抜く機転や、少々(かなり?)法律に触れるようなことでもやってしまう危なさ、そして、危険を顧みずいっしょに戦ってくれる仲間などがないといけません。そのぎりぎりの勝負がおもしろいなあ、と思って見ております。
時代劇にも似ていると思いますが、ぼくは、(古い本、ドラマで恐縮ですが)、弁護士ペリー・メイスンのシリーズに似ていると思うのです。証拠も動機も機会もばっちりで、警察も検察も100%犯人だと思っている容疑者を、メイスン弁護士は、美人秘書のデラ・ストリートと、探偵ポール・ドレイクの協力を得ながら、あざやかに無罪へと導きます。容疑者を隠したり、証拠を隠したり、もっとすごいことまでして、警察にばれたら自分が刑務所に入るようなことをしながら、メイスン弁護士は戦います。そして最後に法廷でぼくら読者をすかっとさせてくれるわけです。
半沢直樹の敵も、国を相手にしたり、かなり強烈ですが、きっと最後は勝ってくれるでしょう。最終回まで、じっくり楽しみたいと思います!