いまの子どもたちはほとんど知らないと思いますが、昭和の時代の大ベストセラー『ノストラダムスの大予言』の作者が亡くなられたと新聞で読みました。ご冥福をお祈りします。
その本に出てくる有名な言葉です。
〈1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる〉
この言葉に、子どもたちは震え上がりました。そのとき、人類が滅亡するというのです。テレビでも何度も取り上げられ、さらに、その後、少年マガジンに連載された『MMR マガジンミステリー調査班』などにも書かれ、1999年7月になるまで、なんとも落ち着かない気持ちにさせられました。超能力やUFO、宇宙人、ネッシーなどなど、超常現象の話が大好きだったぼくは、友達と、熱くいろいろと語ったものです。心霊写真は怖くてダメでしたが……。
結局、1999年は無事に過ぎ、ノストラダムスの大予言も、話題にはならなくなりました。科学の発達やインターネットの進歩などにより、超常現象も次々と解明され、もういまは、超能力者の人はいなくなってしまいました。どんなにすごい超能力も、スマホの技術でかんたんに撮影できてしまいます。
まあ、もちろん、それが健全なことなのでしょう。科学の進歩は、人々の不安をなくしていく力があります。しかし、その一方で、新しい形での大規模な風評被害や、インターネットだからこその事件なども起こり、いまは、ウィルスによる世界規模の被害が起こっています。
それは、世の中のあらゆるものをすべて解明することはできないということなのでしょうか。それでも、人類は進んでいかなくてはならないとしたとき、その根底には、やはり、人々の倫理観であったり、心の優しさ、といったものが、問われるのかもしれないと思います。そして、ちょっとこじつけかもしれませんが、そのためには、超能力やネッシーを『楽しむ』想像力がいるのかもしれない、とも思うのです。もういまからノストラダムスの大予言を信じることはないですが、それを楽しむ気持ちは、あってもいいのかな、と、あの当時より科学が進んだいまだから、そう思います。