よく保護者の方から、うちの子は本を読まないで、マンガばっかり読んでるんですよ、とお聞きすることがあります。それを聞くたび、どきりとしつつ、ぼくは答えます。
「どんなマンガを読まれてますか? マンガにもおもしろい作品はいっぱいあります。ぜんぜん本を読まないのであれば、マンガから始めるのもいいと思いますよ」
実際、ぼくは本も好きなのですが、マンガも大好きで、いまでもたくさん読んでいるのです。生徒に教えてもらって読んだ「ワンピース」は本当におもしろかったですし、時には(しょっちゅう?)講師さんに借りて読んだりもします。
マンガのよいところはいろいろあると思いますが、なんといっても読みやすさでしょう。一気に読むことができるのは、マンガの利点だと思います。ところが、なんとなくですが、マンガも読むのが苦手、という子が、だんだん増えてきているように思うことがあります。マンガは週刊で連載されるものが多いですから、それにふさわしい展開を取ります。伏線をはったり、構成を考えたり、マンガならではの技法があると思うのですが、それがめんどくさい、意味がわからない、という子がいるのです。
マンガの技法が苦手な子は、当然、文章読解、特に長文読解が苦手になる子へとつながります。おもしろいマンガをくりかえし、くりかえし読むことは、自然と、ゆるやかな読みこなしの練習ができるのではとぼくは思っているのですがいかがでしょうか。
そして、もうひとつ、ぼくがマンガを読んでほしいと思うのは、子どもたちにまっすぐ届くメッセージがあることです。小説やドラマではあまりないようなストレートなセリフもマンガの中では素直に受け止められるように思います。たとえば、以下のようなセリフです。『DAYS』というマンガに前回出てきました。サッカーの試合で失敗した主人公を、ちょっと乱暴な女子マネージャーがなぐさめる場面です。
泣いちゃいけない
全部僕が悪いんだから
もっと練習して
もっとうまくなって
みんなにごめんなさいできるまで…
なにそれ?
うまいこと泳ごうとしてんじゃないの?
らしくない
・・・
でも僕には負けた責任が・・・
だから一緒に泣いたりするわけには・・・
そりゃ賢い奴の理屈だろ!!
私でもそうする!
ひどく退屈で常識的な考えだろ!!
あんたらしくないって言ってんの!!
悔しいなら喚けよ!!
悲しいなら泣けよ!!
(でないとアンタも私みたいになるぞ)
チームのために愚直に走った!!
でも結果はついてこなかった!!
だから悔しい!
だから泣く!!
次も頑張る!!
それでいいんだ!!
人が本気で挑戦して努力して
成せないことなんてこの世には何一つない!
途中で挑戦をやめるから
まるで失敗したように映るんだ
敗北も挫折も失敗も丸ごと飲み込め
すべて次の勝利のための一部なんだ
無駄なんかじゃない
あんたが頑張ってきたことはすべて
そのマンガを読み続けていないとわかりにくいかもしれません。また、こういうのは苦手な子も多いかもしれません・・・。ただ、こういうセリフを読んで、ぼくもまた熱さを取り戻していきたいなあと思います。ときにはお子さんの読んでいるマンガも読んでみてはいかがでしょう? おもしろい作品がありましたら、ぼくにも教えてください!
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕