帰りが遅くなった深夜、ふとつけたテレビで映画『ノッティングヒルの恋人』をやっておりました。途中からでしたが見始め、もう寝ないと……と思いつつ、最後まで見てしまいました。これまで何度も見ているのですが、この映画のハッピーエンドが好きで、今回も途中でやめることができませんでした。往年の名作『ローマの休日』を意識したと思われるラストシーンの記者会見の場面は、どうなるかわかっているのに(わかっているから?)、感動してしまいます。
この映画をご覧になったことのない方に、かんたんにご説明いたしますと、世界的な大スターである女優と、小さな町の本屋の主人が偶然知り合い、恋に落ちる物語です。まったく住む世界の違う二人が、惹かれあい、時に傷つけあいながら最後にめでたく……という、まあ、映画でしかありえないお話だと思います。ファンタジーだという人もいるくらいです。でも、こういうお話、ぼくは好きなのですよね。いわゆる芸術映画ではありませんし、文芸大作や、問題意識を高める映画ともまったく違うと思います。でも、この映画について語って、といわれたら、けっこう熱く語ってしまいそうです。
唐突に話が変わりますが、いまぼくは、夏休みの作文倶楽部の授業で行う『読書感想文』コースの課題図書の選定を行っております。課題図書に選ばれる本は、文学的であったり、問題意識を高めるものだったり、なにかを考えたり、伝えたいという本が多いです。また、そういう本のほうが、感想文を書きやすかったりもします。でも……。やっぱり、それだけではなあ、と思うのです。たとえば『ノッティングヒルの恋人』という映画は、まあ、課題図書になるような(?)映画ではありません。「おまえはいかれたくず野郎だ」なんてせりふも出てきます。課題図書では絶対に使えない言葉です! けれども、映画の中で2回ほど出てくるこのせりふは実に感動的なのです。汚い言葉だからこそ、時に胸を打つこともあるのです……。
もちろん、読書感想文は基本的に子どもたちに書いてもらうものですから、正しい言葉遣いや、品行方正といった意識も必要だと思います。ぼくは昔、児童書の編集者の方に、やはり、子どもの本にはあえて向日性を入れたい、といわれ、なるほどと思ったことがあります。課題図書、児童図書には、そういった考慮を入れるべきだと、ぼくも思います。
それでも……。さらにその上で、読んでよかった、おもしろかった、笑っちゃった、という本があれば、もっといいと思うのです。課題図書ではなかなか難しいですが……。感想文はみんないやいや書くことが多いので(!)、読んだら意外におもしろいな、という本を選べればと願っております。ぼくが自由に選んだ本で授業をする、というのも一度やってみたい気がしますが、感想文は学校に宿題として提出する子が多いですので、それもなかなか難しいですね。やはり、課題図書の中から、一番おもしろい本を選びたいと思います。感想を思わず熱く語りたくなるような本があるといいのですが……。しばらく本選びをがんばります!
NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長
三木 裕