計算を筆算でおこなうとき、横線を引きます。それを必ず定規で引きなさいと指導する小学校があり、手書きで線を引いていた子の宿題を、すべてやり直しにさせたというニュースを見ました。160問もあったそうですからかなり大変な作業で、その子のお母さんはなぜ手書きではいけないのか疑問に思ったということです。
なぜ定規で引かないといけないのでしょうか。その前提として、そもそも低学年の子には まっすぐに定規で線を引くことがむずかしい、ということがあるようです。実際に上手にできない子は、ぼくもよく見ます。しっかり押さえながら、というのが、手も小さいですし、なかなかむずかしいようなのです。なので、しっかりと練習させるためにも定規を使わせるのがいいということのようです。そしてもちろん、見やすいためですね。問題の見直しにも効果があります。高学年の子だと定規でいちいち引くのはめんどうですが、それでもきちんとやる子の方が学力が伸びるという先生の意見もありました。
めんどうくさがらずにやる、というのは確かに大事なことのように思います。国語の文章問題や漢字の問題のときも、ちょこっとだけ直してなんとかかんたんに済まそうという子よりも、消しゴムを使って最初から直す子の方が、できるようになるという実感があります。
学校でのそういうご説明があれば、お母さんも納得されたかもしれません。ただ160問やり直しというのは、やっぱりちょっと厳しいかな、とも思います。
このニュースを知ったとき考えたのは、学校と塾のちがいです。
ぼくら塾は、週1回60分とか、80分とか、決められた数少ない時間の中で授業をおこなわなければなりません。その時間の中で、たくさん問題を解いてほしいと思っているとき、定規を使ってきれいに線を引こうとして、でも、そのために問題を解く時間が減ってしまったら、どうするのがよいでしょうか。今日は定規使わないでたくさん問題を解こう、というべきでしょうか。それとも、学校で間違わないようにルールどおりにやってもらったほうがよいでしょうか。
学校で必ず定規を使うように指導されている子は、NEWSにもいます。そういう子には定規を使わないでとは、やはりいえません。急いで急いでとはいってしまうときもありますが……。つい、最初から印刷されている教材を使ってしまったります。時間の制約がある塾のいいわけなのかもしれませんが……。
図形の問題は小学校だけではなく、その後もずっとでてきますから、まっすぐに早くきれいに定規で線を引けることも大事です。ほかにも、たとえば箱のような立体の形を描くのが苦手な子も多いです。授業の中で、どれくらい手伝ってあげればいいのか その都度悩みますが、その子に必要だと思われることは、できるかぎりやってあげられればと思います。