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第373回

野球の神様②

2014.10.06更新

 前回のコラムで、ニューヨーク・ヤンキースという野球チームのスーパースター、デレク・ジーター選手について書きました。野球の神様に愛されているとしか思えないような劇的な引退試合の感動を書いたのですが、今回は日本のプロ野球の選手についてです。そこにも、ジーター選手とはちがう形で、野球の神様がいるような気がしました。


 ジーター選手の本拠地最終戦のあった日、日本のセリーグで、巨人の優勝が決まりました。その試合は見ていないのですが、恒例のビールかけなど行われまして、さらにその後のスポーツニュースにゲスト出演している選手たちを見ることができました。といっても、ぼくは虎ファンなので、少々うらみがましい目で見ていたのですが……。


 ある番組のことです。優勝を決めたばかりの巨人の選手が四人出演していました。主力選手ではありますが、かなり若手の選手を集めた四人でした。いろいろな質問に答えておりましたが、その中で、「あなたが選ぶMVPは?」という質問がありました。菅野選手、阿部選手、坂本選手、長野選手……といった名前がぼくには浮かびました。ただ、今年はずばぬけた数字の選手がいないので、難しいとは思いました。さて、インタビューの答えた四人の選手のうち、二人が同じ選手を書いていました。


 その選手は、鈴木尚広選手です。巨人ファンにはおなじみでも、野球に詳しくない方には、ほとんど知られていない選手ではないかと思います。ぼくも、その選手のことは知っていましたが、最優秀選手に選ばれるとは驚きました。どのような選手なのでしょうか? ちょっと数字を並べてみます。


出場試合数 67
打席数 25
安打数 7
本塁打 0
打点 1
(10/3まで)


 全試合の半分以下しか出場していません。また、その出場試合のうち、さらに半分はバッターボックスにも立っていません。当然のことながら、バッティングでは、大きくチームに貢献しているとはいえないといっていい選手だと思います。では、鈴木選手はどのようなことでチームの力になっているのでしょうか。


盗塁数 11
盗塁失敗 2


 鈴木選手というのはおもに代走で活躍する選手なのです。塁に出た選手の代わりに出場して、盗塁を決めたりすることが、鈴木選手の仕事です。ですから、試合に出ることはあっても、打席に立つことがあまりないのです。


 といっても、数字だけではわかりにくいかもしれません。盗塁11というのは、数だけでいえば、巨人の中でもトップではありませんし、セリーグ全体の中では12位にすぎません。ほとんど代走で11はすごいことですし、失敗の少なさもすごいことなのですが、MVPとまでいえるかは、数字からはなかなかうかがえません。ただ、四人中二人が選んでいました。ぼくは驚きました。けれども、いろいろ話を聞いてみると、なるほどと思いました。


 鈴木選手は足のスペシャリストですので、出てくる場面は、常に試合のもっとも大事なところです。アウトになればもう終わりというところで、盗塁を決めるのは、よほどの技術と、メンタルの強さが必要です。鈴木選手は一年間、チームの大事なところに出続け、何度も巨人の危機を救い、勝利に貢献してきたのだそうです。その後、いろいろと調べてみましたら、意外だと思ったのはぼくがあまり巨人の試合を見ていないからそう思うだけで、実際巨人ファンの中にも、今年のMVPは鈴木選手だという声は大きいのだそうです。たしかに、阪神戦でもずいぶん痛い目に合いました。巨人の原監督は、鈴木選手について、こう語ってたそうです。


「尚広の力というのは、実際の走塁の技術、素晴らしい打球判断、状況判断での走塁だけではないんです。彼が塁に立つことだけで、相手にはプレッシャーを与えて、味方には勇気を与える。終盤の1点を争う場面においては、そういう心理的な優位を作り出しているという点でも彼の存在感は大きいと思います」


 さすがに現場の指揮官はわかっているようです。そして、チームメイトも、ファンも、鈴木選手の存在をわかっているようです。ああ、ここにも野球の大好きな、野球の神様がいる、と思いました。プロとしての自分の仕事を全うし、それをしっかりと見ている人たちがいる。ぼくは、巨人の優勝は悔しかったのですが(しつこくてすみません)、なんだかとてもうれしい気持ちになりました。がんばっていれば、きっと、いつかいいことがあるんだな、そんなふうに思いました。実際の記者投票で鈴木選手が選ばれるかはわかりませんが、その活躍は多くの人たちにとってすでにMVPなのでした。


 NEWSにもいろいろな人たちがいます。すばらしい先生方だけではなく、受付のお仕事をしてもらう方や、テキストのこと、経理のこと、広報物など、さまざまな面で、たくさんの人のお世話になっております。そして、NEWSにたずさわってくださっているみなさんがひとりひとり、全員MVPの方ばかりです。子どもたち全員の顔を見るように、スタッフ全員の顔もぼくは室長として見ていきたいと思っています。これからも、みんなと力を合わせて、NEWSを作っていきたいと思います。



NEWS板橋校室長  
三木 裕

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会社概要

商号
株式会社 NEWS(ニュース)
創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
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子どもの総合教育企業。
子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
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