インターネットで、おもしろい記事を見つけました。ある外国の子どもの本の作家のお話です。知らない作家だったのですが、給食のおばさんを主人公にした物語で大人気なのだそうです。彼女たちは、魚のフライのヌンチャクを使って、悪者のサイボーグや、スクールバスの怪物と戦い、最後にヘアネットで悪者を捕まえ「正義を召し上がれ!」と宣言するのだとか。おもしろそうですね。読んでみたいです。けれども、今回ご紹介したいのはその本のお話ではなく、その本が生まれたきっかけと、その後のことです。それは、その作家が、自分の母校の小学校に講演に行ったときのことから始まります。
給食のおばさんと、小学生のとき話したことがあったでしょうか? たぶん、ほとんどなかったと思います。この作家は、この偶然の出会いに想像力をかき立てられ、物語を書き始めたのだそうですが、そのシリーズが大人気になり、給食室の人たちが、とても喜んでくれたのだといいます。
「わたしたちみたいなものをスーパーヒーローにしてくれてありがとう」
彼女たちはずっと一般社会ではあまり大事に扱われていなかったからです。』
どきっとしてしまいますね。おそらく、この作家もどきっとしたのでしょう。その後、作家は、食堂での気持ちを再現出来る日『スクールランチヒーローデー』をアメリカ中で実施するように働きかけました。その日子どもたちは食堂の職員の方々のために創意に富んだ企画をするそうです。
たとえば、工作用紙でハンバーガーのカードを作ったり、あるいは自分たちの給食のおばさんの顔写真を撮り、漫画のランチレディの顔の上に貼り、それを牛乳パックに取り付け、花を添えておばさんたちに贈ったりしました。また実際の自分の給食のおばさんの横に、漫画のランチレディを配した自分たち独自の漫画を作ったり、子どもたち全員が工作用紙で出来たピザに違うメッセージを書いたトッピングをしたりしたそうです。
作家の話は続きます。
「この日まで私はこの学校の隅っこの惑星にいるような気がしていました。誰も私たちには気づいてくれないんだろうと思っていたのです」
別の女性はこう言いました。
「この企画から分かったのは自分がやっていることは大事だってことね」
もちろん彼女たちがしている事は重要です。全員が大切な事をしているのです。毎日毎日私たちの子どもに食事を与えてくれているのです。子どもは学ぶ前にお腹を満たす必要があるのです。給食のおじさんもおばさんも教養のある社会を創り出すために前線で働いているのです。だから私はこう願っています。『スクールランチヒーローデー』などを待つことなく食堂の職員にありがとうが言えれば良いと。そして心に留めてほしいと思っています。感謝がどれほど大きな力を持つ事が出来るのかを。感謝は人生を変えることが出来ます。感謝はそれを受け取る人の人生を変えます。そして感謝はそれを表す人の人生を変えるのです。』
長くなりましたが、引用させていただきました。身近な人に感謝をしましょう。感謝を伝えたい人たちが、たくさんいます。まず、ぼくはこのコラムを読んでくださっているみなさまに感謝を。いつも本当にありがとうございます。
NEWS板橋校室長
三木 裕