先日、テレビの番組で将棋の羽生永世七冠のインタビューを見ました。先に、将棋の、と書かないと、スケートの羽生選手のイメージで、はにゅうと読まれてしまいそうです。どちらもすごい人で、あまりない苗字で、しかも読み方がちがう、というのは考えてみたら、かなりレアなケースですね。
それは、さておき、将棋の羽生さんのインタビューです。番組の最後の方しか見られなかったのですが、最後に、こんな質問をされていました。
「十年後の自分と対戦したら、どちらが強いと思いますか?」
おお、と羽生さんはうなり、なんといいますか、よい質問だと思ったようで、真剣に考えて答えました。
「十年後の自分が強かったらいいなと思います」
見ているぼくも、おお、とうなりました。この言葉に、いま、このインタビューを受けている自分は、十年前の自分よりも強い、という自負を感じました。常に、より上を目指す姿勢を持ち、そうあり続けているからこそ、ああいう答えが出るのではないでしょうか。
藤井六段(このあいだまで四段だったのですがあっというまに六段になりました。七段にもすぐになってしまいそうです)の活躍はもちろんのこと、次々と若い棋士が現れ、時に負け、時に勝ちという厳しい勝負の世界の中で、羽生さんは、ずっと第一人者としてタイトルも守り続けました。年齢による衰えなどもあるかもしれませんが、十年前よりも確実に将棋の奥深さに分け入っているという感覚があるのではないでしょうか。きっと十年後は、さらに輝いていると思われます。
いまの自分と十年後の自分を比べて、まあ、十歳分、年をとっているわけですが、『だからこそ』十年後の自分のほうが強い、となっていたいものです。どんな勝負をしているのかわかりませんが……。十年後のNEWSにも、ぜひご期待ください!