ぼくは、このコラムやFacebookなどでも何度も書いているのですが、日本のプロ野球の阪神タイガースを応援しています。今年は監督も代わり、超変革!のスローガンのもと次々と若い選手が出てきましたが、結果的には優勝はできませんでした。まだわかりませんが、最下位になるかも……という状況です。そして、今年は25年ぶりに広島カープが優勝したのでした。その優勝する試合を終わりのほうでしたがテレビで見ていまして、ゲームセットのあとの歓喜の胴上げまで見ることができました。大ベテランの選手二人が抱き合って泣いていて、いやあ、阪神ファンですが、感動してしまいました。
そのベテラン選手(黒田投手と新井選手)についてこのまま何十ページも語りたい気になりますが、ここは我慢して、ちょっとちがうことを書いてみたいと思います。その広島カープの石井琢朗コーチが書いた『心の伸びしろ』という本についてです。本当にたまたま買ってあって、優勝するからとか関係なく(ぎりぎりまで阪神が優勝すると毎年思っていますので)、なんとなく夏に読んだのですが、とてもおもしろい本でした。
プロ野球ファンには有名ですが石井コーチは現役時代すごい実績を持つ名選手でした。しかしだんだん若手に出場機会を奪われていき、もう引退かという時期に、広島カープに移籍しました。といいますか、拾われた、という形だったようです。しかし、広島に移籍したことで、チームプレーについてや、若い選手への接し方など、いろいろ考え、自らを成長させることができたということが書いてあります。前のチームでのいやなことや、それについての反省なども書いてあり、さまざまな経験が、コーチとしていまの広島の躍進につながっているのだろうなと思いました。
本の中に、広島というチーム、オーナーのあたたかさが随所に出てきました。この本のときは、まだコーチになりたてで、優勝するとはわからないときでしたが、野球選手としての肉体的な衰えはあっても、心はいつまでも成長できる、そして、そのことをコーチとして伝えたいという情熱が、今年のカープの優勝のひとつの大きな力になったことは、おそらくまちがいないでしょう。この本には選手時代に書いていたというブログもいくつか採録されており、ことばにこだわりを持つ人なのだということがよくわかります。
子どもたちの指導をする人間の一人として、自分も、心を成長させることは絶対に必要です。そのためには、相手を思いやる気持ちや、素直な気持ちが大事だと思います。阪神が優勝できなかったことは残念ですが(しつこいですか)、いろいろな話を聞いたり、読んだりすると、カープの優勝もよかったな、という気持ちになりました。でも、来年はきっと……!
NEWS板橋校室長
三木 裕