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第292回

少年の日の思い出

2013.03.19更新

 

 例年2月から3月くらいに、中学生の国語の授業でヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』を取り上げる学校が多いです。ぼくが少年(?)だった頃からありましたので、もうずいぶん長い間、教科書に載っていることになります。蝶の美しさに心うばわれた主人公の少年が、つい出来心でとなりの家の少年の持つ蝶を盗んでしまって……というお話です。ご存知の方も多いかもしれません。最後に少年は、それまで集めた蝶を全部つぶしてしまいます。あまりいい後味ではありません。となりの子は最初からものすごく意地悪ですし。ただ、ずっと教科書に載り続けるということから、この物語を通して大事な伝えるべきことがあるということなのでしょう。

 毎年、中学生にこの物語を教えるとき、思い出すことがあります。ぼくは中学生でした。国語の時間でした。教科書に載っていたある作品について、国語の女性の先生がいいました。

『だいたい教科書に載ってる話ってつまらないのが多いじゃない。でも、これはおもしろかったわね』

 教科書のお話がつまらない! 学校の国語の先生が堂々ということに、ぼくは、とても驚いたのでした。こんなことをいってもいいんだ!

 いま授業中にこういうことをいったら、やはりまずいですかね。PTAからクレームが来るでしょうか。でも、正直に、教科書にも、おもしろい物語とつまらない物語があるといってもらうことで、ぼくのように国語が好きになる子もいるのです。たとえば、石川啄木は短歌だけ読むと、親孝行の立派な人にも見えますが、実際には遊びのために借金しまくりだったなんて説もあります。こういうことを教えるほうが、みんなもより興味を持ってくれるように思うのですがいかがでしょう? 学校ではやはり難しいでしょうか。

 ヘッセの『少年の日の思い出』は、ぼくとしては、あまりに救いがなさすぎる気がしてなりません。そこがいいのかもしれませんが……。ただ、子どもたちと、あまりに救いがなさすぎるよね、という話をいっしょにすることはできます。それだけでも、ずいぶん違うかな、と自分では思うのですが……どうでしょう。ちなみに、中学校のときの先生がおもしろいといったのは山本周五郎の短編でした。ぼくも、教科書でもおもしろい作品はあるよ、ということも、みんなに教えたいと思います。

NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長  
三木 裕

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会社概要

商号
株式会社 NEWS(ニュース)
創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
事業内容
子どもの総合教育企業。
子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
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会社
設立:1985年10月1日
■学習塾(国大セミナー)104校(2024年3月現在)
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会社
設立:2008年10月1日
■子役養成機関(NEWSエンターテインメント)
グループ
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会社
設立:2010年10月1日
■子どもの体験型ツアー実施する旅行会社
(そらまめキッズアドベンチャー)
グループ
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■保育園・インターナショナル保育園・学童くらぶ
グループ
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■生活・文化・新規事業部門

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