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第313回

銀の匙とスマホ世代

2013.08.22更新

 

 以前のコラムでも書きましたが、灘中学の伝説の国語の授業で、3年間通して、中勘助の『銀の匙』1冊だけをとことん勉強するというものがあります。『銀の匙』の1ページ目から、とにかく一語一語という感じで精査していき、この授業のおかげで、灘中学から灘高校に進んだ子供たちは東大合格率でトップになったといわれています。

 その授業で実際に使用されたというプリントなどを載せた本を読んでみました。たしかに、とことんまでやるという感じです。『銀の匙』の数ページごとに、語句の意味調べからそれを使った短文つくり、要約問題や気持ちの解釈まで、徹底的にプリントが作られています。そして、語句調べはたんなる意味の確認だけではなく、実際に外に出て遊んだり、作者の中勘助の手紙を書いて直接質問したりなど、楽しい工夫もされています。要約や短文つくりにこれだけ時間をかけていたのか……という、国語の先生としての思いもありますが、場合によっては寄り道ばかりともいえる、この授業がなんとも楽しそう! というのが一番ですね。保護者はもちろん、生徒からも、先生こんなことばかりしていいのですか、と心配されたと以前テレビで見ましたが、実際みんな力がついたわけで……。

 それで、今回この本を読んでみてもう一つ思ったのが、このなんでもとにかく調べるという行為が、実はこれからのスマホ世代には、けっこう備わっているのでは? ということでした。世の中のありとあらゆるものがごく簡単に調べられるスマホを使いこなしている若者たちは、本当にいつでもなにかを調べているように見えます。テレビを見てちょっと気になることがあったら即その場で調べ、それについて関係のある言葉に興味を持ったらまたすぐ調べ……という感じで、芋づる式にどんどん、どんどん世界を広げていきます。そういう調べて調べて、という姿勢が、ちょっと『銀の匙』の授業と似ているなと思ったのです。

 調べた言葉をすぐに使ったり、友達に紹介したり、なんてことはいまの世代は得意中の得意です。短文つくりも意外にこれからの世代のほうが上手になるかもしれませんね。でも、伝説の国語教師がつくった心のこもった授業は、それだけではできません。スマホ世代のよさを上手に生かし、それを昔ながらの方法も使って伸ばしていくのが、これからの国語教育には必要かもしれません。古きもの新しきもの、どちらの良さもちゃんとわかっていたいですね。大いに楽しみ、大いに勉強したいと思います。


NEWS板橋校、NEWS青葉台校、NEWSセンター北校室長  
三木 裕

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会社概要

商号
株式会社 NEWS(ニュース)
創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
事業内容
子どもの総合教育企業。
子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
グループ
株式会社 国大セミナー
会社
設立:1985年10月1日
■学習塾(国大セミナー)104校(2024年3月現在)
グループ
株式会社 NEWSエンターテインメント
会社
設立:2008年10月1日
■子役養成機関(NEWSエンターテインメント)
グループ
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会社
設立:2010年10月1日
■子どもの体験型ツアー実施する旅行会社
(そらまめキッズアドベンチャー)
グループ
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会社
設立:2015年2月1日
■保育園・インターナショナル保育園・学童くらぶ
グループ
株式会社 ドリームプラネット
会社
設立:2015年6月1日
■生活・文化・新規事業部門

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