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第391回

何が心を騒がせたのか

2015.02.05更新

古池や蛙飛び込む水の音


 あまりにも有名な芭蕉の句ですが、これに関して、おもしろい文章を見つけましたので、ご紹介したいと思います。もともとは五十嵐力という文学教授の本にあるものだそうですが、それを坂口安吾がユーモラスに紹介しているもので、ぼくは読みました。いきなりですが、まず読んでみてください。


古池や蛙飛び込む水の音 寂しくもあるか春の夕暮


 俳句に下の句をたして、むりやり(?)和歌にしてしまったものです。一つの感情、一つの季節が付け加えられ、とてもわかりやすくなりました。が、安吾は書きます。


 この親切な下の句は、結局芭蕉の名句を殺し、愚かな無意味なものとするほかには何の役にも立っていない。言葉の秘密、言葉の純粋さ、言葉の絶対性-と、いかにもこけおどしに似た言い分ではあるが、この簡単な一行の句と和歌とで、その実際を汲んでいただきたい。言葉をいくら費やして万遍なく説明しても、芸術とは成り難いものである。何よりもまず、言葉を駆使するところの、高い芸術精神を必要とする。

 読んでいて思わずどきりとしてしまいます。ぼくの作文の授業は、子どもたちの傑作に、愚かで無意味な下の句を足していることはないでしょうか? たとえば、「~じゃなくて」を「~ではなくて」と、オレンジのペンで直したりしますが、本当にそれでいいのでしょうか?


 学校の作文、あるいは、入試の国語の記述問題では当然、減点の対象になりますから、直すのは正しいのでしょう。でも、その一方で、なんとなくつまらない作文になってしまうことも……。もちろん、ぼくとしては、言葉遣いだけではなく、その内容や、表現の仕方、視点などで、おもしろい作文を書いてほしいと思って指導しています。ですが……、一つひとつの言葉をどこまで直すべきなのだろうと悩むことも、また事実なのであります。国語の正解と作文の正解については、これまでも何回かコラムに書きましたが、いつまでも悩み続けることになりそうです。たぶん、それがNEWSのいいところに直接つながっているではないかと思うのですが……。そして、ぼくは、あえて「~じゃなくて」を残すときもあります。あまりないですが、そのほうが伝わると信じるときはやはり直せません。


 と、このようなことを考えていた何日かあと、今度は、ある漫画を読んでいましたら、またしても芭蕉の古池や~の俳句が出てきました。ここにも一つの解釈が出てきます。


古池や、で切るってことは、この句のテーマはこの『池』。芭蕉は、どこかにある古い池に自分を重ねているんです。この池は実在しない芭蕉の心の中の池だという解釈もあるんです。心の中にいつからかある池に、蛙の姿でなにかが飛び込んで音をたてた、水紋がひろがった、それは何なのか、何が心を騒がせたのか……

 こういう考え方もありますよ、ということで漫画には描かれており、十七文字一句に、詠み手は可能な限り言いたいことを託して、読み手はそれを体感し、想像するんです、俳句はコミュニケーションなんです、と結ばれています。いまから300年以上前の十七文字をこうしていま読んでいるわけですから、言葉の持つコミュニケーション力のすごさがわかります。いったい、何が心を騒がせたのでしょうか? みんなに聞いてみたい気がします。


 ほかの本ですが、実際には蛙がものすごくたくさんいて、どぼどぼ池に飛び込んだという説や、じつはにぎやかな鳴き声をうたったのだという説も有力だというのも読んだことがあります。解釈によってずいぶん印象が変わりますが、それも俳句の魅力の一つなのでしょう。一つの俳句(に限らずすべてのものごと)から引き出される、あらゆる『おもしろいこと』をぜんぶNEWSでやりたい!といつも思います。


 そうなのです。ぜんぶ、というのが、ぼくの中のNEWSのキーワードなのです。このあいだのリトル・アーティスト展がまさにその最たる例なのですが、ぜんぶやりたいのですね。子どもたちみんなが好きなこと、夢がかなうこと、将来につながること、あらゆる可能性につながること、ぜんぶやりたいのです。NEWSでしかできないんじゃないかなと思っています。リトル・アーティスト展のたくさんの作品、ご協力いただいた先生方、本当に『ぜんぶ』すごかったです。


 2月には2回ワクワク体験DAYが行われます。ミニ体験などを行います。ぜひ校舎までおいでください。そのとき、NEWSのほかのコースのこともぜひご説明させてください。先生方のすばらしさ、通っている子どもたちの楽しそうな様子と傑作の数々、なんでもお話したいと思います。NEWSのぜんぶを知っていただきたいと思います。多くのみなさまにお会いできますことを願っております。お待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。



NEWS板橋校室長  
三木 裕

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会社概要

商号
株式会社 NEWS(ニュース)
創業
2000年3月1日(株式会社国大セミナーの一部門として創業)
設立
2012年10月1日
資本金
1000万円
代表者
           
代表取締役 小倉拓也
本社
〒330-0063 埼玉県さいたま市
浦和区高砂2-5-5 KIビル 3F
電話
048-831-2223
事業内容
子どもの総合教育企業。
子どもたちが、21世紀を生き抜くために必要な教育を提供している。1人ひとりの成長に責任を持つために、全ての事業は少人数制を基本としている。
グループ
株式会社 国大セミナー
会社
設立:1985年10月1日
■学習塾(国大セミナー)104校(2024年3月現在)
グループ
株式会社 NEWSエンターテインメント
会社
設立:2008年10月1日
■子役養成機関(NEWSエンターテインメント)
グループ
株式会社 そらまめキッズツアー
会社
設立:2010年10月1日
■子どもの体験型ツアー実施する旅行会社
(そらまめキッズアドベンチャー)
グループ
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■保育園・インターナショナル保育園・学童くらぶ
グループ
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■生活・文化・新規事業部門

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